IoT通信のSORACOMに「Canal」「Direct」「Endorse」「Funnel」の4サービス追加、myThingsとも連携
2016/01/27 11:20
IoT通信プラットフォーム「SORACOM」を提供するソラコムは、1月27日開催の同社主催カンファレンス「Connected.」で、プライベート接続サービス「SORACOM Canal」、専用線接続サービス「SORACOM Direct」、認証支援サービス「SORACOM Endorse」、クラウド連携サービス「SORACOM Funnel」という4つの新サービスを提供開始すると発表した。
同社は2015年9月に、IoT通信プラットフォームをリリース。1日の基本使用料が1回線当たり10円という低価格な従量課金モデルで、無線LANよりもセキュアなLTE/3G回線を使ってIoTシステムを構築できることなどから支持を集め、サービスリリースから4カ月で1500以上の顧客やパートナー企業に利用されるようになったという。
例えば、北海道帯広市で営業する十勝バスは、路線バスにSORACOMを使ったシステムを組み込んだ。バスの位置情報を把握できるようにして、運行案内サービス「もくいく」に利用している。内田洋行は百葉箱にIoT機能を持たせ、温度や湿度、カメラ映像をリアルタイムにアップロードできるようにした。他にも、パーソナルモビリティ「WHILL」がSORACOMを導入し、Web経由での見守りや防犯サービスの機能を追加しようと開発に取り組んでいる。
こうしたSORACOMを導入した顧客の要望に耳を傾けて開発されたのが、今回発表された4サービスだ。
SORACOM CanalとSORACOM Directは共に、“閉じたIoTシステム”を構築するために考え出されたサービス。セキュリティ面で不安が大きいインターネットを経由せずに、自社サーバやクラウドと接続できるようになる。
SORACOM Canalは、SORACOMとAmazon VPC(仮想プライベートクラウド)上の顧客システムをプライベート接続でつなぐ。Amazon Web Service(AWS)と直結したセキュアなシステムを構築可能になる。
もう1つのSORACOM Directは、AWS以外の顧客システムと専用線を使って接続する。オンプレミスシステムにも対応可能だ。
SORACOM Endorseは、SORACOMのSIMが入ったデバイスから届くリクエストに対して、SORACOMから認証トークンを発行するサービス。データ通信用SIMを使った認証をさまざまな場面で利用できるようになる。Wi-Fiオフローディングのほか、「社内システムへのログイン時、IDとパスワードを入力するのに加えて、SIMを使った認証が必要になる」といった多要素認証での利用などを見込んでいる。
4つ目のSORACOM Funnelは、AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドへのデータ送信を支援するサービス。各クラウドの仕様に対応した“アダプタ”と呼ばれる接続機能を提供する。クラウドの認証ロジックの違い、リクエスト失敗時の対処などを“アダプタ”が支援し、従来よりも少ないプログラミングでクラウドリソースに接続できるようになる。
同社はこれまで、IoT向けのデータ通信SIMサービス「SORACOM Air」、IoTデバイスにかかる暗号化などの高負荷処理や接続先の設定をクラウドにオフロードできる「SORACOM Beam」という2つのサービスをリリースしてきた。「Air」「Beam」に続く今回発表の4サービスの名称は「Canal」「Direct」「Endorse」「Funnel」で、意図的にABC順にサービス名を決めてきたという。
新たな4サービスは1月27日から提供開始する。ただし、CanalとDirectは先着順に対応するリミテッドプレビューとしての提供になる。EndorseとFunnelはパブリックベータとして提供し、1~2月中は無料で利用できる。
プラットフォームにアクセス管理機能を追加。myThingsとの連携も
同社はまた、IoT通信プラットフォームのSORACOMに、アカウント管理機能「SAM(SORACOM Access Management)」を追加した。課金情報だけを閲覧できるユーザー、SIM回線の管理だけできるユーザーなど、ユーザーごとに権限設定できるようになる。
さらに、ヤフーが提供するIoT関連のAPIを集約した「myThingsプラットフォーム」と連携することも明らかにした。myThingsアプリを使って設定することで、「Cerevoの鍵スイッチ『Hackey』を回すとSORACOM Airの機能を停止する」といった利用が可能になるとしている。