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貼り付ければ皮膚がそのままディスプレイに——東大の研究グループが超柔軟有機LEDの開発に成功

東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授と横田知之講師らの研究グループは、肌に貼り付けるディスプレイを実現する、超柔軟で極薄の有機LEDを開発し、大気中で安定に動作させることに成功した。科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業の一環として進められたものだ。

同研究グループによると、今回開発された超柔軟有機LEDは、生体適合性に優れるパリレンと呼ばれる極薄の高分子フィルムを基材として構成されている。保護膜まで含めたすべての素子の厚みの合計が3μmしかなく、くしゃくしゃに曲げられる超柔軟性を有しているため、皮膚のように複雑な形状をした曲面に追従するように貼り付けられるという。この厚さは人間の皮膚表皮のおよそ10分の1に相当する。

また、有機LEDなどの有機光デバイスは、大気中で安定に動作させることが困難だという課題があった。これを解決するため、デバイスを極薄に維持したまま水や酸素の透過率の低い保護膜を極薄の高分子基板上に形成する技術と、熱に弱い極薄の高分子基材上に、透明性電極である酸化インジウムスズ(ITO)を室温で成膜する技術の開発という2つの重要なポイントがあったとしている。

研究グループは、超柔軟有機LEDのヘルスケア/医療/福祉/スポーツ/ファッションなど多方面への応用にも言及している。例えば有機光センサを人の肌に直接貼り付けて血中酸素濃度や脈拍を計測し、それを腕に貼り付けた有機LEDディスプレイに表示することもできる。さらに、人に見せることを目的として、服とコーディネートして皮膚を電飾媒体としたファッションや、スポーツ応援のペインティングなどへの応用の可能性もあるという。

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