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平らなシートが滑らかな立体曲面に——3Dプリントものづくりの新しいかたち「CurveUps」

オーストリアIST Austria(Institute of Science and Technology Austria)の研究者たちは、弾性力と接触力を利用して平面形状から立体形状を造形する全く新しい方法「CurveUps」を発表した。

CurveUpsは、多数の小さな堅いタイルの層を弾性シート2枚で挟んだサンドイッチ構造をしている。タイルの形状は角すい台で、タイルの上下にはピンと呼ばれる出っ張りが付いている。CurveUpsは押さえつけられた状態では平らな形状だが、押さえる力がなくなると弾性シートが収縮する。シートの弾性力と隣り合ったタイル同士の接触力により立体形状へと変化し、力がつり合ったところでその状態を保つ。

CurveUps

タイル層は、作りたい造形物の形状から三角形メッシュを生成し平面に展開したものを3Dプリントして作る。個々の三角形メッシュが前述のタイルとなるが、弾性シートが収縮したときに目的の形状となるよう各タイルの向きや配置、ピンの位置や大きさをソフトで計算する。

3Dプリントしたタイル層の片面にあらかじめ均一に伸ばした弾性シートを接着し、サポート材を取り外す。その後、もう片方の面に同じく均一に伸ばした弾性シートを接着して余った部分を切断すればCurveUpsが完成する。

CurveUps

CurveUpsのタイルの形状の特徴や作成方法の詳細は、YouTubeIST Austriaの技術論文ページで公開されている。公開された動画によると、かなり複雑な形状もCurveUpsで作れるようだ。CurveUpsで作られた仮面を押さえていたアクリルガラス板を外すと、最初は平らだったものが徐々に滑らかな曲面を持つ立体的な仮面へと変化する様子には興味深いものがある。

CurveUpsの実用性は未知数だが、3Dプリントによるものづくりの新しいかたちとして特筆に値するだろう。CurveUpsは、ロサンゼルスで開催される「SIGGRAPH 2017」で2017年8月1日に論文発表される予定だ。

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