天体観測しながら研究に寄与も——銀河や星雲を鮮やかに映し出す天体望遠鏡「eVscope」
2017/10/30 10:00
銀河や星雲の姿を鮮やかに映し出す天体望遠鏡「eVscope」がKickstarterに登場し、大変な人気を博している。地球外知的生命体の探査を専門に行っている非営利組織SETI研究所と提携しており、eVscopeを使って天体観測するだけで研究に寄与することも可能だ。
宇宙の写真集でアンドロメダ銀河やオリオン大星雲の美しい姿を見て天文ファンになった人も多いだろう。しかし、何万光年もかなたにある星々からの光は微弱で、天体望遠鏡を使っても薄暗くぼんやりとしか見えずがっかりしたことはないだろうか。本で見たあの鮮やかで神秘的な姿をこの目で見たい。eVscopeはそんな思いに応えてくれる天体望遠鏡だ。
eVscopeは、天体からの光が主鏡で反射され焦点を結ぶ位置に、副鏡の代わりにSONY製高感度センサー「IMX224」を配置した反射式望遠鏡だ。独自の蓄光技術と画像処理アルゴリズムにより増幅処理をし、接眼部の小型有機ELディスプレイに投影する。観測したい天体の方向にeVscopeを向けてアイピース(接眼レンズ)をのぞいていると、あたかも長時間露光を直接見るように徐々に明るくなり、やがて銀河や星雲がその鮮やかな姿を現す。
eVscopeは、現在、開発中の専用アプリを使ってWi-FiまたはBluetooth経由でスマートフォンやPCからコントロールできるという。初心者モードでは観測対象の星を選ぶだけで望遠鏡が自動的に見たい星を捉えてくれる。
eVscopeの自律視野検出機能(Autonomous Field Detection/AFD)は視野内の星を自動的に検出し、2000万もの天体の座標データベースと比較して向きを特定。6軸コンパス/加速度センサーと電動の経緯台式架台により、eVscopeを自動的に天体の座標に合わせる。一般的な天体自動導入と異なり、アライメントは完全自動で行われる。
さらに、eVscopeの購入者は、小惑星の接近通過、超新星爆発、彗星(すいせい)などの天文現象の観測に「市民科学者」として参加できる。キャンペーンモードをオンにしておくと、スマートフォンに天体現象の観測依頼が座標や指示と共に送られてくる。eVscopeに座標を送信すると、eVscopeは自動的に天文現象が起きる方向を向き観測できるようになる。観測中に収集されたデータはSETI研究所本部に送信され、研究に活用される。
eVscopeの倍率は、50倍/100倍/150倍の3段階に変更可能。主鏡の直径は4.5インチ(約110mm)、焦点距離は450mm、口径比(F値)は4だ。接眼部ディスプレイのコントラスト比は100万:1。重量は三脚込みで7kg、内蔵充電池は最大10時間使用可能だ。
eVscopeは2017年11月24日までクラウドファンディングを実施するが、10月25日の開始からわずか数日で目標額15万ドル(約1700万円)の6倍を越える約98万ドル(約1億1000万円)を既に集めている。
eVscopeの早期割引価格は、1299ドル(約15万円)。出荷は2018年11月の予定で、日本への送料は99ドル(約1万1000円)だ。