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金属を飛躍的に強化する——ナノ双晶傾斜構造材料がもたらす新しい製造技術

ナノレベルの双晶面間隔が変化する傾斜機能材料が、金属の強度および他の特性を向上する。

米国ブラウン大学と中国科学院金属研究所の共同研究チームが、金属結晶における微細構造であるナノ双晶を制御して、強くて耐久性のある金属を作る手法を考案した。ナノ双晶は、微細な直線境界の両側で線対称のツイン結晶を持つ構造であるが、ナノスケールの境界間隔を傾斜変化させることにより、強度および疲労抵抗などを劇的に強化できることを明らかにした。研究成果は、2018年11月2日の『Science』誌に公開されている。

研究チームを指導するブラウン大学工学部のHuajian Gao教授は、「この研究は、内部構造が徐々に変化する傾斜構造材料分野に関するもの」と説明する。「傾斜構造材料は、自然界でも骨や木材において存在するが、全く均質な材料と比較して、しばしば特異な性質を示すので、活発に研究されている。我々は、ナノ双晶の間隔に傾斜的変化がある場合、どのような新しい性質が創出されるか追求した。」

ナノ双晶は、直線的な境界(双晶面)の両側の単結晶が、境界に対して鏡映の関係にあるナノ構造である。研究チームは既に、双晶面がナノスケールの間隔で繰返し配列するナノ双晶銅材料を作成し、通常の銅よりも著しく高い疲労抵抗性を持つことを示している。

研究チームは、異なる双晶面間隔を持つ4種のナノ双晶銅材料を用い、自動車の塗装などに使われている電着技術を利用して、バルク状の傾斜構造銅サンプルを合成した。4種のナノ双晶の双晶面間隔は、29nmから72nmまで変化している。合成した銅サンプルでは、この4種のナノ双晶を厚さ方向に様々な順番で配列することにより、双晶面間隔および結晶粒径が傾斜的に変化している。様々な傾斜サンプルの強度試験を実施した結果、傾斜してない均質な銅よりも高い強度を示した。さらに、変形によって金属が強化され、一様な変形伸びを向上する指標である、加工硬化係数も劇的に向上することを見出した。

このような特性向上の背景にあるメカニズムについて理解するため、研究チームは原子構造のコンピューター・シミュレーションを実施した。金属では、転位(原子が正規の配列からズレることで生じる線状の結晶欠陥)の運動の仕方や、転位が互いに相互作用する仕方によって強度が決まるが、シミュレーションの結果、傾斜サンプルでは、転位密度が通常の金属よりも1桁以上も高いことが判った。「他の材料では生じないような、密集した転位の束と呼ぶべき特異な転位構造が、高強度の原因になっている」と、Gao教授は説明する。

研究チームは、ナノ双晶を用いた傾斜構造材料は、銅以外の他の金属の性質も向上できる可能性があると考えており、高機能性材料に向けた新しい製造技術の道を切り開くと期待している。

fabcross for エンジニアより転載)

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