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関東経済産業局、スタートアップと中小企業によるマッチング事業の成果を発表

成果発表会の登壇者。興研 堀口展也氏、ロビット 新井雅海氏、フリックケア 工藤純平氏、しのはらプレスサービス 篠原正幸氏(左上から時計回り)

関東経済産業局は、中堅/中小企業とスタートアップによる合同プロジェクトの成果発表会を2019年3月6日に実施した。当日は2件のプロジェクトの成果発表とデモに加え、スタートアップ3社と中堅企業によるパネルディスカッションが行われた。

photo ロビットと興研による外観自動検査機(資料提供:興研、ロビット)

家庭用のカーテン開閉機の開発/製造や工場向けのIoTソリューションを提供するロビットと、産業用マスクを開発/製造する興研は、防じんマスクの外観自動検査機開発プロジェクトを発表した。

興研が製造する産業用の防じんマスクは、フィルターの素材に羊毛を採用している。そのため、汚れやゴミが羊毛に混入した場合や、静電気帯電処理加工による毛羽立ちが発生した際には、検査の段階で不良品として処分している。しかし検査には熟練した作業者が必要で、教育にも数週間を要していた。

興研はこれに対して、ロビットが開発する外観検査ソリューションを導入した。ロビットでは画像認識とAI/機械学習を活用した外観検査システムを開発している。プロジェクトでは、素材の色合いや表面の形状が若干異なるという条件下で、明らかな合格品と不良品の間にある「合格品として許容できる製品」を検出できる仕組みを開発。実証実験の結果、98.6%の精度で正しく判別できたという。

今後は実際に生産ラインでの導入も検討していくとしている。
photo しのはらプレスサービスとフリックケアの連携イメージ図 (資料提供:しのはらプレスサービス、フリックケア)

初期費用無しで月1万円から製造ラインの稼働監視サービスを提供するフリックケアと、プレス加工機のメンテナンスや改修を行うしのはらプレスサービスは、両者のサービスを組み合わせた製造ライン監視サービス開発プロジェクトを発表した。

年1回の法令検査や日常点検では拾いきれない故障リスクをセンサーで監視し、オンライン上にデータをアップロードして、web上からリアルタイムに監視できるようにすることで、プレス加工機をIoT化することが狙いだ。

プロジェクトでは、両者のサービスを組み合わせることで、より付加価値の高いメンテナンスサービスが提供できるとして、今後はオンライン上で稼働状況を確認できる機能などを開発していくという。

今回の成果発表会は関東経済産業局が企画したプロジェクトによるもので、関東圏の中堅/中小企業とスタートアップをマッチングさせ、新たなビジネスの創出と事業化を目的としている。

デモ発表後に行われたパネルディスカッションでは、中堅/中小企業とスタートアップからそれぞれ3社が登壇し、両者による連携の意義やメリットが議論された。

photo パネルディスカッションの登壇者。左からトヨタケ工業 横田幸史朗氏、協豊製作所 滝正臣氏、菊池製作所 乙川直隆氏、ものレボ 細井雄太氏、Mira Robotics 松井健氏、キスモ 鈴木雄也氏

中堅/中小企業からはスタートアップと連携するメリットについて、「大企業と比べて開発のスピードが早く、コスト面でも優位性がある」(協豊製作所 滝正臣氏)といった意見があった一方で、スタートアップ側からは「決裁権のある担当者がミーティングに参加することが多く、話が早い」(キスモ 鈴木雄也氏)といった意見や「2代目、3代目と若い経営者が中小企業側にも多く、スタートアップに対する関心度も高い」(ものレボ 細井雄太氏)といった意見が寄せられた。

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