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NASAの木星探査機「Juno」、木星の磁場の変化を発見

Image credit: NASA/JPL-Caltech/Harvard/Moore et al.

NASAが2011年に打ち上げた木星探査機「ジュノー」は、2016年7月に木星圏に到達、巨大なガス惑星の軌道を周回しながら観測を続けている。そのジュノーのミッションを管理するNASAジェット推進研究所(JPL)は2019年5月20日、木星の磁場が長い期間の中で変化する「永年変化(secular variation)」と呼ばれる現象を起こしていることを発見したと発表した。発見に関する論文は、科学ジャーナル『Nature Astronomy』に掲載されている。

ジュノーチームの科学者は、1973年に始まる木星へのNASAの過去のミッション(パイオニア10号、11号、ボイジャー1号、ユリシーズ)で得られたデータと、ジュノーの磁力計で得られた磁場のモデルを比較した結果、小さいが、磁場に対するはっきりした変化があることを見いだした。

ジュノーチームは木星磁場の永年変化が起きる理由を探し、木星の大気(または部分的な)風の作用が最も良くその磁場の変化を説明することを見出した。木星の風は、表面から深さ3000kmに及び(注:木星には固体の表面はなく、地球の10倍の大気圧のところを惑星表面として定義する)、そこでは惑星の内部はガスから高伝導性の液体金属に変化する。それが磁場を剪断し、引き延ばして惑星の周りに運んでいると考えられている。

木星の永年変化は、赤道近くにある肉眼では見えない「大青斑(Great Blue Spot)」で最も大きかった。強い局地的磁場を持つこの大青斑とこの緯度における強い帯状風が木星型世界の磁場に最大の永年変化をもたらしている。

ジュノーチームの科学者Kimee Moore氏は、「1つの小さな磁気ホットスポットである大青斑が木星の永年変化のほぼ全ての原因だとは信じられないが、数字はそれを裏付けている。この新しい理解に従って、木星全体の永年変化の地図を作ることになるだろう。これは、まだ謎の多い地球の永年変化の研究にも応用できるかもしれない」と、研究の今後について述べている。

fabcross for エンジニアより転載)

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