3Dプリント造形物の表面を滑らかに——Slic3rに非平面造形機能を実装
2019/09/10 10:00
独ハンブルク大学の研究者らが、FFF(熱溶解積層)方式の3D印刷物にできる階段状の積層痕を目立たなくする技術を開発した。
FFF方式では、平面層を垂直方向に積み重ねることで3D構造を形成している。水平方向になだらかな曲面を表現しようとすると、階段状の縞模様(積層痕)が目立つようになり、造形物の品質が低下するという課題がある。従来は、レイヤーの高さを低減したり、化学的または機械的に後処理を加えることで積層痕を除去していた。
研究者らは、オープンソースのスライサーソフト「Slic3r」を使い、非平面造形機能を追加した。事前に使用する3Dプリンターのプリントヘッドの高さとノズルの先端角度を測定して入力、ヘッドと造形物が干渉することなく造形可能な領域を算出し、非平面層の造形中にヘッドが下の構造にぶつからないようなツールパスを割り出している。この方式は、3軸の3Dプリンターで利用可能で、任意のオブジェクトから滑らかな非平面造形を可能にするツールパスを生成できるという。
公開された動画からは、生成したツールパスに従い、最初に平面層を造形した後、その上から非平面層(曲面層)で積層痕を埋めるように造形していることが分かる。平面層と非平面層を組み合わせることで、より滑らかな造形を実現している。
このSlic3r機能拡張版は、GPLv3ライセンスの元、Githubから入手できる。