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ペロブスカイト太陽電池やタッチスクリーンの効率と耐久性を上げる新しい素材を開発

Illustration courtesy of the authors, edited by MIT News

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、柔軟かつ透明な導電性材料をもったコーティング材料を開発した。太陽電池やタッチスクリーンに現在使われる透明導電膜の欠点を補い、デバイスの性能と耐久性の向上に役立つ材料として期待できる。研究結果は、2019年11月22日付けの『Science Advances』に掲載されている。

現在、太陽電池やタッチスクリーンの透明導電膜には、透明性と電気伝導性の高いITO(インジウムスズ酸化物)が幅広く使われている。しかし、ITOは非常に脆く、一定期間使用すると割れる場合がある。Karen Gleason教授らの研究チームは以前からITOに置き換わる素材として、透明で導電性がありながら柔軟な材料の開発を進めていた。

今回研究チームは、oCVD(酸化化学蒸着)法を利用して、導電性有機ポリマーPEDOTを一般的なエッジオン配向ではなく、フェイスオン配向に蒸着すると同時に、微結晶中のポリマー鎖間の積み重ね距離を減らすことに成功、より高い電気伝導度をもつ、厚さ数nmの薄膜層を形成した。直流伝導度は2800S/cm、光学バンドギャップは2.9eV、直流伝導度と光学伝導度の比は50に達した。過去に研究チームが開発した材料と比べ、10倍の電気伝導度を持つという。

開発したPEDOT層をペロブスカイト太陽電池に組み込んだところ、ペロブスカイトの効率が向上し、その安定性が2倍に増加したことを確認できた。ペロブスカイト太陽電池は、シリコンベースの太陽電池に置き換わるものとして非常に有望視されており、性能や耐久性の向上が求められているデバイスだ。

実験では6インチ基板に蒸着したが、ロールツーロール方式にも展開可能で、量産化も簡単だという。蒸着温度は140℃と、ほかのITO代替材料よりもずっと低い温度で製造できることも大きな利点だ。

穏やかでシングルステップの工程を利用して、転写することなく直接プラスチック基板にも蒸着できるので、フレキシブル太陽電池やディスプレイなどにも向いている。さらに、表面に微細構造を持つ材料にも均一に蒸着できることから、紙や布地のような素材にも適応可能だ。

長期間にわたり様々な条件下での安定性を証明する必要があるため、研究は継続中だ。「研究を進める上で技術的な障壁はない。あとは市場に出すために誰が投資するかだけが問題だ」と、Gleason教授はその将来を展望している。

fabcross for エンジニアより転載)

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