ボールミルを使ったプリント基板の安全な破棄方法を考案
2020/02/29 09:00
プリント基板を処分するための新しい、より安全な方法が開発された。この研究は中国広東省の中山大学によるもので、2019年12月10日、『ACS Sustainable Chemistry & Engineering』に掲載された。
プリント基板は、現代のエレクトロニクスに不可欠な部品だ。しかし、使用後は、焼却したり埋め立て地に埋められることで、空気や土壌、水を汚染する。最も懸念されるのは、プリント基板への引火防止で添加される臭素化難燃剤だ。臭素化難燃剤に含まれる化合物が、内分泌疾患と胎児組織の損傷との関連を指摘されており、廃棄されたプリント基板から難燃剤を除去する方法が求められていた。
同研究では、これらの潜在的に有害な化合物を分解し、より安全に処分できるようにするボールミル粉砕法を開発した。ボールミルは、小さな硬質球を用いて材料を粉砕する回転型粉砕機だ。
プリント基板を破砕すると、30%の金属片と70%の非金属片になる。まず、一般的に行われているように、磁気および高電圧の静電分離によってプリント基板を粉砕し、金属部分を除去した。
次に、樹脂、補強材、臭素化難燃剤とその他の添加剤を含む、残った非金属片をボールミルに入れた。これに、有機化合物から臭素などのハロゲンを除去するのに役立つことが分かっている鉄粉を加えた。
ボールミルを使ってさらに破砕することで、小片表面の臭素含有量は50%まで減少し、フェノール樹脂化合物は分解した。さらに、破砕プロセス中に、鉄が難燃性化合物に電子を移動させることで、炭素-臭素結合を引き伸ばして破壊させるということが明らかになった。
(fabcross for エンジニアより転載)