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失われた筋肉を3Dプリンターで修復——外科手術を代替する可能性がある携帯型バイオ3Dプリンター

コネチカット大学の研究チームは、筋骨格系の外科手術に革命をもたらす画期的な携帯型の3Dバイオプリンターを開発した。細胞や組織の成長を促す物質を、骨格筋の損傷した箇所に直接プリントできるというもので、研究結果は2020年1月30日付けの『American Chemical Society journal』に掲載されている。

3Dプリント技術を医療目的に利用するための研究は次々と進められており、骨格筋の損傷の治癒や再生手段のひとつとしても注目されている。しかし、現在考えられている方法は複雑な画像システムや造形システムを必要とし、外傷を負ったあと直ちに適切な治療を施すのが難しいという課題がある。

この問題を克服するために、研究チームはゼラチンベースのハイドロゲル、いわゆる「バイオインク」を筋肉の欠損部位に直接積層できる3Dプリンターを開発した。プリントされた足場は、傷ついた組織の周りに正確に接着し、既存の組織の特性を模倣するため、縫合の必要もない。

これまで、3Dバイオプリンターによる骨格筋の足場の作成は培養細胞レベルにとどまっており、生体レベルでは成功していなかった。今回、筋肉欠損を有するマウスに対して、直接バイオインクを印刷し、効果的に接着すること、その後、筋肉繊維が肥大していることを確認できたという。複雑な骨格筋組織の欠損に対して、迅速かつ正確な治療が期待できる技術と言えるだろう。

fabcross for エンジニアより転載)

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