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IBMチューリッヒ研究所、LEGOとArduinoとRaspberry Piを使って総額300ドルの顕微鏡を作製

Credit: IBM Research

IBMチューリッヒ研究所で医療用マイクロ流体技術の研究開発をしているYuksel Temiz氏は、2020年4月24日、LEGOとArduinoとRaspberry Piを使い、総額300ドル程度で顕微鏡を製作したと発表した。詳細は、2020年4月24日付で『IEEE Spectrum』に掲載されている。

研究室にある顕微鏡での撮影画像に不満があったTemiz氏は、自分の趣味でもあるLEGO、Arduino、Raspberry Piの3つを使い、8メガピクセルRaspberry Piカメラや3Dプリンターで作製した部品と組み合わせて、分解能10μmの顕微鏡を自分で組み立てたという。誰でも自宅で顕微鏡を作れるように、詳細な組み立て方法とDIYビデオも公開している。

マイクロ流体を研究しているTemiz氏たちは、過去2年間、実際にこの顕微鏡を用いて、学会での発表やジャーナルへの論文投稿に使えるクオリティの写真を撮影している。従来のカメラでマイクロ流体チップを撮影すると、鏡のように反射するのでカメラが映り込んだりしていたが、この顕微鏡を使うと、傾きを正確に調整してぎらつきを避けることができ、高解像度の写真や動画の撮影ができる。

また、研究室を訪れた7歳の子どもに、組み立てマニュアルを見せて顕微鏡から部品をはずしてみせると、LEGO遊びに慣れていた子どもはすぐに興味を持って組み立て始め、数分で顕微鏡を完成させたという。

この顕微鏡を作るには、LEGOを用いずに部品を全て3Dプリンターで作製することも可能だ。しかし、実際にはLEGOブロックの精度が高く、入手しやすいことから、自分で3DプリントするよりもLEGOを用いる方が時間の短縮になるとTemizs氏はコメントしている。

Temizs氏は、将来、この顕微鏡を学校で使ってもらいたいと考えており、そうすればRaspberry Piのプログラミングや簡単な画像処理も学んでもらえる、と期待を寄せている。また、手頃な価格なので、発展途上国でもこの顕微鏡を利用してもらえたらと語っている。

fabcross for エンジニアより転載)

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