カスタムメイドのカーボンフレームスポーツバイク——カーボンファイバー3DプリントでCFRPを革新する
CFRP(カーボンファイバー複合材料)製のユニボディを使いながら、個人に合わせてカスタマイズが可能なロードバイク「SUPERSTRATA」がIndiegogoに登場し、人気を集めている。
SUPERSTRATAの特徴は、軽量かつ高強度なCFRP製のロードバイクながら、個人の身体に合わせてカスタマイズでき、ベースモデルなら2799ドル(約30万円)という低価格を実現したことだ。優れた特性を備えたカーボンファイバーだが、一般的に自由な造形が難しくカスタムメイドには不向きとされ、その専門性の高い製造方法は低コスト化を阻んでいる。
SUPERSTRATAは、AREVOの産業用大型3Dプリンター「AQUA」を使用して大幅に製造コストを下げることで、こうした課題に対応した。3Dデータをもとに6軸ロボットアームを使って造形するという製造プロセスにより、カーボンフレームを個人の身長に合わせて簡単にカスタマイズできるという。
このユニボディカーボンフレームは、溶接やボルトを使わない3Dプリントによって造形された単一のフレームであり、補強部品を必要としないため軽量で、溶接部がないため強度も高いという特徴がある。
フレームのカスタムメイドに関しては、身体寸法に加え、ライディングスタイルや経験値も加味した最適なジオメトリーでのフレーム設計が可能だという。カーボンフレームは中空構造で、フレーム内に電池を組み込んだ電動アシスト付モデルも選択できる。
SUPERSTRATAの価格は、電動アシスト付モデル「Ion」が3999ドル(約43万円)、電動アシスト無モデル「Terra」が2799ドル(約30万円)。IndiegogoではIonが55%オフの1799ドル(約19万円)、Terraが53%オフの1299ドル(約14万円)となっている。10万ドル(約1070万円)の目標金額に対してプロジェクト開始初日で8倍、およそ80万ドル(約8560万円)の支援を集めている。
SUPERSTRATAの製造には、AREVOの産業用大型3DプリンターであるAQUAが使用されているが、今回のプレス発表はAQUAを導入して研究開発に利用しているAGC(旧旭硝子)の横浜テクニカルセンターにて開催された。
AQUAは、大型ブース内に設置された6軸ロボットアームによる3Dプリンティングプラットフォームであり、最大1000 ×1000 × 530mmのパーツを製造できる。
SUPERSTRATAのようなCFRPによる3Dプリントは、フィラメントをレーザーで加熱しながらコンパクションローラーで圧力を加えて積層していくDED(Direct Energy Deposition)方式を採用、造形素材には同社独自のボイド率を1%以下に抑えた一方向性プリプレグフィラメントを使用している。
さらに専用ソフトウエア「XPLORATOR」は、構造物の自動解析による最適化と軽量化、最適な連続繊維の配置を検討し、AFEA(非線形構造解析)でパーツの強度をシミュレーションしつつ、シングルパーツでの設計を自動化、出力データをそのままAQUAに入力することで、最適設計から造形までを一連のプロセスで実現することが可能だ。