電子レンジを使って陶芸品を完成させる——セラミック3Dプリンター「Cerambot Eazao」
2021/04/26 07:30
造形した陶芸作品を電子レンジで「焼成」して完成させる3Dプリンター「Cerambot Eazao」がKickstarterに登場し、目標額を大幅に上回る資金を集めている。
Cerambot Eazaoは、以前fabcrossで紹介したセラミック3Dプリンター「CERAMBOT」の後継モデルだ。
旧モデルはデルタ型の3Dプリンターだが、Cerambot Eazaoは、直交する2本のレールでプリントヘッドを支えるデカルト型に変更されている。構造を変更したことで、プリントヘッドの位置決め精度が向上しプリントエラーが減るとともに、より優れた表面仕上げができるようになった。
Cerambot Eazaoの造形速度は、旧モデルの5~50mm/秒に対して10~40mm/秒。最高速度は低下したものの、最低速度は向上しており、クリエイターは旧モデルより速く造形が終わるとしている。Cerambot Eazaoには電動プッシュロッドが採用されており、旧モデル「CERAMBOT Pro」搭載のエクストルーダー機構「Pro Extruder」と同様に、従来のセラミック3Dプリンターで粘土を押し出すために使われているエアーコンプレッサーは不要だ。
Cerambot Eazaoの大きさは300×350×500mm、造形サイズは150×150×240mm。ノズル径は1.6mmで、積層ピッチは0.4~1mmだ。
Cerambot Eazaoの大きな特徴は、同時にリリースされた「Microwave Kiln」だ。Microwave Kilnには耐熱断熱材であるセラミックファイバーと高温吸収材である炭化ケイ素が使用されており、通常は3Dプリントした陶芸作品を窯や炉で焼成する必要があるが、Microwave Kilnを使えば家庭用の電子レンジで陶芸作品を完成させることができるとしている。
電子レンジは調理器具なので、通常は、陶器の焼成に必要な800~1200℃の高温で中に入れた物を加熱することはできないが、クリエイターによると、造形した作品をMicrowave Kilnに入れて、1500Wの電子レンジを最高出力にして加熱すると、35分後にはMicrowave Kiln内部が1100~1200℃になり作品を焼成することができるという。その後、Microwave Kilnの外壁が50℃以下に下がってから、耐熱手袋をした上で電子レンジから取り出し、自然冷却させると作品が完成する。
ただし、Microwave Kiln内部がかなりの高温になることに加え、Microwave Kilnの外壁が実際に何℃まで上昇するのか詳細は不明なので、Microwave Kilnを使用する場合には慎重を期し、安全に十分な配慮をする必要がある。
Cerambot Eazaoの早期割引価格は、429ドル(約4万6000円)。出荷は2021年7月の予定で、日本への送料は70ドル(約7600円)だ。Microwave Kilnの価格は80ドル(約8600円)で、日本への送料は30ドル(約3200円)。Cerambot EazaoとMicrowave Klinをセットで購入する場合は519ドル(約5万6000円)で、日本への送料は70ドル(約7500円)だ。
Cerambot Eazaoは1万ドル(約110万円)を目標に、2021年5月6日までクラウドファンディングを実施する。2021年4月26日時点で目標額を上回る約25万ドル(約2700万円)を既に集めている。