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慶應大、3Dプリントによる東京五輪表彰台制作プロジェクトに参画

慶應義塾大学が、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の表彰台をリサイクルプラスチックを使って3Dプリンターで作成するプロジェクトの設計統括を担当し、複雑かつ自由な形状の3次元造形を実現した。

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同大会で使用される表彰台は、市民参画型の「みんなの表彰台プロジェクト」として、リサイクルプラスチックで作成された。全国2000店舗余りのスーパーやドラッグストア、113校の学校、および企業や団体から合計24.5トンの資源を回収。デザインは大会エンブレム製作者の野老朝雄氏が担当し、同大学環境情報学部の田中浩也教授が設計統括を務めた。

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同大では廃プラスチックを3Dプリントで活用できるように、廃ガラスと組み合わせた材料改質研究に取り組んだ。また、表彰台を高速かつ高品質に製造するための工作機械プログラミングにおける軌道設計も行った。これらの実現は文部科学省COI(Center Of Innovation)「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会」(2013-2021)の研究成果によるところが多いという。

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同大では従来から3Dプリントの研究に取り組んできたが、今回のプロジェクトでは特に、複雑な形状でも造形可能という3Dプリンターの長所を生かし、自由な形状の検討が可能になったことが大きな成果となった。大会エンブレムから導かれた3次元立体レリーフ形状の表彰台は、レリーフと周辺の光が生み出す陰影によって豊かな表情を表すことを目指した。

また、試作から量産まで一気通貫でつなげることで、高い品質を維持したまま3Dプリント業者にデータを受け渡すこともできた。さらに、材料押し出し方式の3Dプリンターによる造形はゴミがほとんど発生せず、騒音も少ない。環境負荷が低く、本大会の基本コンセプトに合致している。今回は98台もの造形物をリサイクルプラスチックを用いて製造したが、同大によるとこのような例は世界にも例がないという。

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