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東北大が固体リチウムイオン電池を3Dプリントで製造する技術開発に成功

3Dプリント造形した疑似固体リチウムイオン電池の模式図と3Dプリントの様子

東北大学多元物質科学研究所 雁部祥行技術職員、小林弘明助教、本間格教授らは2021年11月11日、リチウムイオン伝導性イオン液体電解質の3Dプリント技術を開発することで、固体リチウムイオン電池を常温で3Dプリント製造する技術開発に成功したと発表した。

同研究グループは2018年2月、燃えにくいリチウムイオン伝導性イオン液体を用いた疑似固体リチウムイオン電池の開発について、くぎ刺し試験による不燃性を実証。また、3Dプリント技術の蓄電デバイス応用研究も進めており、2021年4月には3Dプリント可能な電気化学キャパシタの製造方法を発表していた。

今回の開発では、これまで研究を進めてきた疑似固体電解質材料に着目。リチウムイオン伝導性イオン液体、シリカナノ粒子からなる疑似固体電解質材料に紫外線硬化樹脂を混ぜることで、光造形方式による3Dプリントが可能な電解質インク材料が開発された。

電解質インク材料は、疑似固体電解質が持つ高いリチウムイオン伝導性と難揮発性、難燃性を示した。また光造形方式3Dプリントによる高速かつ優れた成形性を有する。この電解質インク材料と、コバルト酸リチウム正極インクおよびチタン酸リチウム負極インクを使用して3Dプリントすることで、疑似固体リチウムイオン電池の作製に成功。動作実証として、100回以上の安定な充放電動作を実証した。

今回開発した技術及び材料は、ポリマーなど熱分解性のあるソフトマテリアル上に常温での3Dプリント造形が可能であり、生体適合性マイクロ電池やフレキシブルデバイスへ応用できる。また、3Dプリンターの設定や設計により、任意の大きさ/形状の電池を造形できるため、ウェアラブルデバイスや車載用電源など、幅広いニーズに対応可能だ。

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