Metaが人工皮膚「ReSkin」を開発——拡張性に優れて低コスト、消耗時の交換も容易に
2022/01/08 07:00
米 Meta(旧Facebook)は2021年11月1日付のブログで、同社の人工知能(AI)研究者たちがカーネギーメロン大学との共同研究によって、人間の皮膚のような触覚を持つ人工皮膚「ReSkin」を開発したと発表した。
ReSkinは人間の触覚を機械学習でロボットに学ばせ、磁気センサーを利用することで、低コストでありながら、耐久性と汎用性に優れている。
ReSkinは磁性粒子を埋め込んだ可塑性エラストマーからできている。触ると皮膚が変形することで、周囲の磁気信号が変化する。信号の変化を近くの磁力計が測定し、触られた位置や加えられた力の量などをAIに伝える仕組みだ。
最大400Hzの時間分解能と1㎜当たりの精度が90%以上の空間分解能を有し、高周波3軸触覚信号により、手を滑らせる、投げる、取る、手を叩くなどの素早い動作も計測できる。また、100ユニット当たりの製造コストが6ドル未満であり、より大量に製造すればコストをより下げられる。さらに、厚さは2~3mmで、5万回以上も使用できる。こうした特徴から、ReSkinは、ロボットハンドや触覚グローブ、犬の靴まで、以前は収集が困難だったデータを研究者が収集するのに役立つと見込まれている。
もう1つ、消耗したら簡単にはがして新品と交換できるところもReSkinの特徴だ。既存のソフトセンサーの多くはセンサーが1つしかなく、交換すると再度学習する必要があり、非効率で実用的ではなかった。しかし、ReSkinは皮膚にあたる可塑性エラストマーと内部の電気回路が分離した構造になっており、接続しなくとも磁気センサーが近くにあれば機能する。スキンを交換してもセンサーは自動でキャリブレーションするため、データの一貫性を保つことができる。
交換の容易さと再現性に関する課題は、ロボット工学でソフトセンサーの普及を妨げる重大なボトルネックとなっている。ReSkinは、機械学習を活用してこうした問題を解決し、さまざまな用途に使用できるように、拡張性があり安価な触覚センシングモジュールを実現したとものだとうたっている。
(fabcross for エンジニアより転載)