ラズベリーパイ財団、64ビット版「Raspberry Pi OS」を正式リリース
2022/02/04 16:55
ラズベリーパイ財団は2022年2月2日、64ビット版「Raspberry Pi OS」におけるβテストを終了し、あらためて正式版をリリースした。
Raspberry Pi OSは、Raspberry Pi向けに提供されているOSだ。かつての名称は「Raspbian」だったが、2020年5月28日に同財団からRaspberry Pi OSに改称する旨が発表された。
Raspberry PiはコアプロセッサーとしてARMを使用している。64ビットに対応した「AArch64」などを含むARMのアーキテクチャー「ARMv8-A」は、2016年に発表された「Raspberry Pi 3」で初めてRaspberry Pi製品に導入された。しかし、Raspberry Piはモデルごとに採用されているARMコアやポートが異なるため、デバイス間の互換性の問題から、「arm6hf」による32ビット版OSを採用し続けていた。arm6hfは、前アーキテクチャーにあたる「ARMv7」のみの命令を削除し、浮動小数点演算命令を保持したもの。
多くのクローズドソースアプリケーションはarm64にしか対応しておらず、オープンソースのアプリケーションはarmhfポートに対して最適化されていないという課題がある。
また、上記の64ビット対応ボードで32ビット版のOSを使用した場合、扱えるメモリ量は3GBまでに制限されていた。論理的に4GBを超えるメモリにアクセスできず、うち1GBは仮想アドレス空間のカーネル用に確保されるためである。
それ以外にも、同財団はARMのA64命令セット固有の性能上の利点やアプリケーションの性能を、64ビット版OSの正式導入に至る理由として挙げている。
なお、64ビット版OSのデフォルトでインストールされるChromiumには、WidevineCDMライブラリが含まれておらず、一部のストリーミングメディアが再生できないことに注意が必要だ。
64ビット版OSのインストールイメージは財団のWebページからダウンロード可能で、コマンドラインから32ビット版OSをインストールする方法についても解説している。