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狭い場所も変形して通過できる——プロペラアームにヒンジ機構を備えたドローンを開発

HiPeR Lab/YouTube

カリフォルニア大学バークレー校HiPeRLabの研究チームは、特別なモーターやアクチュエーターがなくても、飛行中に形状を変えられるドローンを開発した。一見、普通のクワッドコプターに見えるが、プロペラの回転を利用してプロペラアームを折り畳むことで、狭い場所を通り抜けたり、電線に止まったりすることができる。研究結果は、論文投稿サイト「arXiv.org」上で公開されている。

近年、クワッドコプターは建物の検査、偵察、荷物の配送、捜索救助活動など、さまざまな場面で利用されている。新しい用途に対応するためにさまざまな拡張機能が提案されているが、機体に何らかのハードウェアが追加されることが多く、重量の増加に伴って飛行時間が減ったり、開発や保守に時間がかかってシステム障害を引き起こしたりするという課題がある。

そこで研究チームは、プロペラにつながる4本のアーム部分にヒンジ機構を設けることで、変形用のモーターや複雑な機構がなくても、必要に応じて多彩な変形飛行ができるドローンを開発した。プロペラの推力を落としたり逆転させると、アームが折り畳まれる仕組みだ。機体は、向かい合った2本のアームを畳んでもホバリングできるように設計されている。

実験では、4本のアームをすべて伸ばして通常のクワッドコプターとして飛行できたほか、2本のアームを畳んで狭いトンネルを通過したり、畳んだアームで荷物を掴み、別の場所へ運ぶことができた。もしくは、アームをすべて畳んで、電線の上にバランスよく止まったり、そこから再びアームを広げて飛び立つこともできた。さらに、水平方向に設置された開口に対しては、一時的にアームをすべて畳んで落下しながら通過し、すぐさまアームを広げて飛行する、といった動きも見せた。

機体は、ヒンジの部分を除けば標準的なクワッドコプターに近い設計のため、4本のアームを伸ばして飛行するときの消費電力も、従来と同等だとしている。アームの予期せぬ動作を防ぐため、システムの制御に制約は生じるものの、飛行軌道にはほとんど影響がなかった。また、最大ヨートルクは減少したものの、ロールとピッチに関しては影響がないことを確認している。

今回開発したドローンは、特定の用途に特化したドローンと比べると劣るかもしれないが、同等の質量とパワーを持つ従来のクワッドコプターと同じ敏捷性を備えつつ、自由度の高い飛行機能を追加できるとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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