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材料は太陽と空気——オフグリッドの水生成装置を開発

飲料水生成システムを開発するアメリカのスタートアップSOURCE Globalは、太陽光と大気中の水蒸気から、クリーンで安全な飲料水を作り出す「SOURCE Hydropanel」を開発した。

SOURCE Hydropanelは、太陽光パネルを活用したオフグリッドシステムだ。内蔵ファンが空気を取り込み、吸湿性材料が水蒸気を吸着する。受動的に液化された水はタンクに貯められ、マグネシウムやカルシウムが添加されてミネラルウォーターとなる。取り込んだ空気はシステムを通る前にフィルターを通り、水はオゾン処理されるので、高品質でおいしい飲料水を提供できるという。

Hydropanelのサイズは1.2×2.4×1.1m、重さは154kg、寿命は15年、動作温度範囲は1~55℃、相対湿度は10~100%としている。1日あたりの水の生産能力は、2~5Lだ。さまざまな気象条件に対応可能で、低~中程度の日光や湿度でも、水を生成できる。

センサーとワイヤレス送信機を内蔵し、ネットワークオペレーションセンターで24時間365日、水の品質管理と機器のトラブルに対応する。乾燥した砂漠地帯でも利用できるため、アメリカをはじめUAEやフィリピンなど、50カ国以上に展開している。

さらに、配管やペットボトルを使わなくても、家庭の水栓に直接つないで水を飲めるという利点がある。見積もりでは、15年間の使用で、500mLペットボトル5万4000本分の削減効果があるという。

想定する設置場所は、家庭やコミュニティ、学校、職場などだ。例えば、カリフォルニア州の法律では、「新鮮で、きれいで、適度に冷たい」水を、仕事場の「できるだけ近い場所」で農場労働者へ提供することを義務づけている。Hydropanelは、こうした要件に低コストで持続的に適応できるシステムといえる。

「カリフォルニア州のセントラルバレーは、世界の水問題の最前線にある。井戸は乾き、地下水の汚染は安全レベルの3倍に達し、都市用水は枯渇している」と、SOURCEの創業者兼CEOであるCody Friesen氏は指摘する。同社は、投資信託会社のManulife Investment Managementの農業部門と協力して、セントラルバレーにある2エーカー(約8100平方メートル)の休耕地を640枚のHydropanelで「ウォーターファーム」に変える計画を進めている。システムが稼働すれば、まずは年間に約120万Lの飲料水を供給できる見込みだ。

fabcross for エンジニアより転載)

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