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引張超弾性6%を示すニッケル/チタン形状記憶合金の3D印刷技術を開発

Image: Texas A&M Engineering

テキサスA&M大学の研究チームが、金属3D印刷法の一種であるレーザー粉末床溶融結合法によって、優れた引張超弾性を示す形状記憶合金を作製することに成功した。従来の3D印刷法による形状記憶合金に比べ、最大超弾性を2倍にするという。

同研究成果は2022年5月1日、「Acta Materialia」誌に掲載された。

ニッケル/チタン形状記憶合金は、室温以下で変形を受けてもすぐに元の形状に戻る性質を持ち、超弾性合金と呼ばれる。生体医療や航空宇宙分野などへの需要があり、ステント、インプラント、手術器具、航空機の翼などに応用できる。さらなる精密製造化に向け、機能特性と微細構造についての知見が求められる。

レーザー粉末床溶融結合法は、ポリマー3D印刷法と同様に、レーザーを使って金属や合金の粉末を一層ずつ融合させ、複雑な形状の部品を作ることが可能だ。

しかし、ほとんどのニッケル/チタン材料はレーザーの融合過程に耐えることができず、大きな熱勾配や酸化によるもろさによって、多孔度、反り、剥離などの構造欠陥がしばしば発生する。また、レーザーによる成分蒸発のため、材料の組成が変化するという問題もある。

これらの問題に対し、研究チームは、加工パラメータや合金原料組成の最適化、印刷室の酸素量の制御に取り組み、印刷した状態で室温引張超弾性6%を一貫して示すニッケル/チタン部品の作製に成功した。さらに、電子顕微鏡像から超弾性に重要な役割を果たす合金中の微細構造についても明らかにした。

3D印刷法によって超弾性を持つ形状記憶合金を製造できるようになると、材料に加えられる変形に対応する能力が高まる。また、このような優れた材料を3D印刷法で開発することにより、製造にかける費用と時間を削減することが可能となる。

研究チームは、同技術で作製したニッケル/チタン形状記憶合金の生体医療や航空宇宙への用途拡大を期待している。

fabcross for エンジニアより転載)

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