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Apple AirPods用充電ケースをUSB-C対応に改造——PCBガーバーファイルも作成

スイス在住のKen Pillonel氏が、Appleのワイヤレスイヤホン「AirPods」を、USB-C対応に改造した。Pillonel氏は、以前にもiPhoneの端子をLightningからUSB-Cに改造したことで知られている。

AirPods' Dirty Secret Exploring the Simulation/YouTube

Apple製品は独自規格のLightning端子を採用しているものが多く、AirPodsもその1つだ。しかし、2021年9月には、欧州連合(EU)の欧州委員会が「携帯用電子機器の充電端子はUSB Type-Cを欧州規格として統一する」という無線機器指令の改正案を発表した。2022年6月には欧州連合理事会(閣僚理事会)と欧州議会がこの案について暫定合意に達しており、消費者の利便性向上と電子機器廃棄物の削減を目標とするこの案が成立すれば、Lightning端子は、EU内で事実上廃止になるといえる。

だが、改正案が成立していない現時点では、AirPodsの充電ケースが機能しなくなった場合、Appleサポートに依頼して修理してもらうか交換してもらうしかない。Pillonel氏によれば、AirPods内蔵バッテリーの寿命は2~3年程度で、初代のAirPodsが2016年発売ということを考えると、修理できずに埋め立て地に廃棄される充電ケースは数千万個にもなると考えられるという。

腕に覚えがある人なら、自分でバッテリー交換をしようと思うだろう。しかし、AirPodsの充電ケースは2重構造で、内側ケース内に基板やバッテリーが入っている。この2重ケースは内部でプラスチックのツメと接着剤で封止されているため、分解作業は骨が折れるし、作業中に破損させてしまう可能性が高い。

AirPods' Dirty Secret Exploring the Simulation/YouTube

そこで、Pillonel氏は、初代および第2世代のAirPods用に、まず充電ケースの外側シェルを3Dプリントした。そして、PCBと充電端子との接続についてリサーチを重ねたうえで、LightningではなくUSB-C端子に対応するフレキシブルPCBのガーバーファイルも作製した。さらに、3Dプリンターで自作した組み立て用の保持ガイドを使ってUSB-C端子固定用の金属製ブラケットを取り付け、USB充電できるAirPods用充電ケースを作製することに成功した。

AirPods' Dirty Secret Exploring the Simulation/YouTube
AirPods' Dirty Secret Exploring the Simulation/YouTube
AirPods' Dirty Secret Exploring the Simulation/YouTube

Pillonel氏は外側シェルの3DモデルやPCBのガーバーファイルをGitHub上で公開したほか、SNSを通じたプレゼント企画も発表している。記事執筆時点で交換キットの販売予定はないが、購入希望者はメールアドレスを同氏のWebサイトで登録できる。

充電ケースの外側シェルは慎重に切断しても5分程度で切断できるので、交換用のケースがあればそのまま交換作業を始められるという。交換用バッテリーもオンラインで入手可能だ。ただし、Appleでは「過失・事故・不正改造による損傷はApple製品限定保証の保証対象外」としているので、実際に改造してみたいという人はその点を十分考慮に入れておく必要がある。

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