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EPFL、農業廃棄物からPET樹脂に似たプラスチックを製造する手法を開発

Credit: Alain Herzog (EPFL)

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)は、研究者らが非食用植物由来の新たなプラスチックを開発したと発表した。このプラスチックは、PETボトルの原料として使われているポリエチレンテレフタレート(PET)と呼ばれる樹脂に似た性質を持ちながら、無害な糖類に分解可能でリサイクルできる。丈夫で耐熱性に優れ、酸素などの気体を透過しにくいため、食品包装用プラスチックの有力な代替候補になるという。

このプラスチックの製造法はEPFLのJeremy Luterbacher教授らが開発したもので、木材や農業廃棄物からプラスチック前駆体を作る。プラスチックの分子構造の中で糖の構造を損なわないことから、その化学構造は既存の代替品よりずっとシンプルになっており、自然界に既に存在する分子に戻ることができるので分解しやすい。

Luterbacher教授らは、2016年にプラスチック原料の抽出に際し、植物材料にホルムアルデヒドを加えると材料内のリグニンを安定化させ抽出中の破壊を防止できることを発見した。その後、この化学的性質を再利用し、ホルムアルデヒドの代わりにグリオキシル酸を使うことで、バイオマス由来の新たなプラスチック前駆体を作り上げることに成功した。

この研究の詳細は、2022年6月23日付で『Nature Chemistry』に掲載された。研究論文の筆頭著者であるLorenz Manker氏は「このシンプルな技術を使うと、農業廃棄物の重量のうち25%をプラスチックに変換できる」と述べている。

fabcross for エンジニアより転載)

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