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魚に優しい小型水力発電システム——MIT卒業生の姉弟が開発

Credits:Image: Courtesy of Natel Energy

マサチューセッツ工科大学(MIT)卒業生の姉弟が設立したNatel Energyが、魚にとって安全で、自然河川の状態を模造した水力発電システムを展開している。

同社のメイン製品である「Restoration Hydro Turbine(RHT)」は、コンパクトな水力発電用タービンであり、落差わずか2~20mで効率よく発電できるため、設置可能な場所の大幅な拡大が期待できる。

2009年に、Gia Schneider(現CEO)とAbe Schneider(現CTO)の姉弟が同社を創業し、 2019 年までの間に、リニアタービンの設計に取り組んでいた。特許を取得し、いくつかの施設にシステムを展開したが、魚の安全な通過を保障するという課題が残っていた。

その後、水力タービンに通常使用する鋭いブレードとは対照的な、非常に丸みを帯びたエッジのタービンブレードを設計し、高い発電効率を達成した。鋭いブレードを必要としなければ、複雑な新しいタービンは必要ないことに思い至ったという。

RHTは、90%を超える発電効率を示し、第三者機関のテストによると、99%以上の魚が安全に通過できる厚いブレードを備えている。さらに、重要な川の堆積物の通過も可能にし、丸太の詰まり、ビーバーダム、岩のアーチなどの川の自然の特徴を模造する構造と組み合わせることができるという。

風力や太陽光ほどエネルギー生産が成長していない水力発電産業の発展に、RHTが大きな役割を果たすと、同社は期待している。アメリカとヨーロッパ全体で改造が見込める水力発電所の合計容量は約30ギガワットであり、何百万もの家庭に電力を供給できると見積もられている。

同社はまた、アメリカとヨーロッパで発電設備を持たない既存の多くのダムに、新しい発電所を建設するという野心を持っている。現在、アメリカの8万基のダムのうちの3%しか発電しておらず、同発電システムがアメリカとヨーロッパ全体で約48ギガワットの新しい電力を生成できると見積られる。これは、1億枚以上のソーラーパネルの発電量に相当する。

fabcross for エンジニアより転載)

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