複数のセンサーでデータ収集——Raspberry Piベースの都市部自然資産モニタリングIoTシステム
2022/11/02 07:30
カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)の研究チームが設計したRaspberry Piベースの研究調査システムを、Raspberry Pi公式ブログが紹介している。複数のセンサーから取得したデータを活用して、都市部の自然資産を保護管理するためのIoTシステムだ。
この研究プロジェクトでは、都市部の樹木などの自然資産を調査し、その資産価値の評価や、自然資産の利用に関する考察を目指す。例えば「夏の暑い日に、日陰のない場所にある木々の周りには人が集まりやすい」というデータが得られた場合、今後、植樹の本数を増やすか、あるいはその木の近くに座れる所やごみ箱を設置するかといった都市計画を立案する際に活用できる。
UBCのバンクーバーキャンパスには、植樹された樹木約8000本と1万本以上の自生樹木が自然環境下で育っており、キャンパス内には樹齢100年を超えるレッドオークを含む並木道が約1kmにわたって続く。研究調査の選定基準として、複数の樹種がある緑地で、歩行者が多く、携帯電話の電波が届く場所として2地点を選出している。
研究調査では、樹木や樹木の根本に設置したセンサー、ドローンに搭載したセンサー、スマートフォンから取得するデータという3種類のデータセットを使用し、土壌や樹木の状態、人間の行動パターンを測定する。
樹木近辺の地下約0.6mに埋設された土壌センサーは土壌の体積水分量や電気伝導率、誘電率などの各種数値を計測。加速度センサーは枝の上に設置して、風による樹木の動きを計測する。
データロガーとして使われるRaspberry Piは、電源とともにプラスチック製の筐体に収められており、Raspberry Piにはデータ通信用にセルラーモジュールを接続する。Raspberry Pi は60秒ごとにデータを収集し、収集データはRaspberry Piから「InfluxDB」と「Azure」にアップロードする仕組みだ。
また、ドローンに搭載したマルチスペクトルセンサーは、木の葉の色の変化を記録する。ドローンを使うので、人間が歩き回って調査するよりも効率良く広大な範囲を記録できる。
さらに、スマートフォンから取得するデータは、人間の行動が都市部の木々に与える影響の把握に役立つため、今後の都市計画や整備に関する計画立案に活用できる。