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黒体限界を越える——逆輻射を抑制した太陽熱光発電システムを提案

偉大な発明家であるトーマス・エジソンはかつて、「太陽が輝き続ける限り、人類は電力をいくらでも発展させられるだろう」と語ったという。これまで、太陽光を直接エネルギーに変換しようと、さまざまな発電システムが開発されてきたが、いずれも昼間しか発電できないため、エネルギーの収集と利用には限りがあった。

ヒューストン大学の研究チームは、24時間365日太陽光発電できる可能性を秘めた、新しいエネルギーハーベストシステムを提案した。「我々のアーキテクチャを使えば、太陽エネルギーの収集効率は、熱力学的限界まで改善することが可能だ」と、研究チームは報告している。研究結果は、2022年9月29日付けの『Physical Review Applied』に掲載されている。

太陽エネルギーをより効率的に活用する方法を見つけることは、炭素フリーの電力網への移行を考えるうえで重要だ。アメリカエネルギー省(DOE)のソーラーエネルギー技術局(SETO)と国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の最近の研究によると、太陽光発電は2035年までにアメリカ国内の電力供給の40%、2050年までに45%を占める可能性があるという。

発電システムのひとつ、太陽熱光発電(STPV: solar thermophotovoltaics)は、熱輻射を電気に変換する技術だ。STPVの効率は、従来の太陽光発電が直面するShockley-Quisser限界を超え、黒体限界(85.4%)に達すると考えられてきた。

研究チームは、STPVを構成する中間層と呼ばれる部分に着目。中間層は太陽から来る光子を全て吸収するように設計され、高効率化のカギとなる要素だ。ところが、従来の中間層はシステムとの相互依存性のために、太陽側へ戻る逆輻射が発生して効率が落ちる、と研究チームは指摘し、相互依存のない放射特性を備えた中間層を使って逆輻射を抑制した「非相反太陽熱光起電力(NSTPV)」を提案した。

これにより、より多くの光子をセルに流し込むことが可能になり、太陽エネルギー収集における極限値であるLandsberg限界(93.3%)を達成することも可能だという。また、単接合太陽電池を備えた実用的なSTPVシステムの効率も大幅に引き上げられるとしている。熱エネルギー貯蔵ユニットと組み合わせれば、24時間絶え間なく発電することも可能だ。

「我々の研究は、エネルギー用途における非相反熱光部品の大きな可能性を強調している」と、Bo Zhao助教は語る。

fabcross for エンジニアより転載)

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