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MIT、シリコンウエハー上に単原子分の厚みの材料形成に成功——次世代プロセッサー向け技術

CREDIT: IMAGE COURTESY OF JEEHWAN KIM, KI SEOK KIM, ET. AL

1960年代以降、半導体の集積度はほぼムーアの予測通りに上昇してきたが、2nmレベルの微細加工が現実になった今、そのスケールは原子数個分の大きさの領域になり、加工の限界や、電気的特性の悪化により、その法則も頭打ちではないかとも言われている。

そこで登場したのが、原子1個分の薄さのシート状結晶である2次元材料だ。2次元材料は、ナノメートルのスケールで、シリコンよりもはるかに効率的に電子を伝導させることができる。そのため、シリコンの後継となる次世代トランジスタの材料として注目されている。

今回、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、チップメーカーがシリコンやその他の材料の既存ウエハー上に、2次元材料を使ってより小さなトランジスタを製造できる方法を開発した。 この新しい方法は、「非エピタキシャル単結晶成長」の一形態であり、研究チームはこの方法を用いて、工業用シリコンウエハー上に純粋で欠陥のない2次元材料、「遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)」を成長させることに初めて成功した。TMDは、ナノメートル領域でシリコンよりも電気をよく通すことが知られている。

一般に2次元材料を生成するためには、タマネギの皮を剥くようにバルク材料から薄いフレークを慎重に剥離する必要がある。しかし、ほとんどのバルク材料は多結晶であり、ランダムな方向に成長する複数の結晶を含んでいるため、ある結晶が別の結晶と出会う場所では同じ方向に剥離することが難しくなる。これに対して、非エピタキシャル単結晶成長では、2次元材料の薄片を剥がす必要がない。その代わりに、二酸化ケイ素のコーティングで結晶の種を捕捉する「マスク」と呼ばれる小さなポケットをパターン化する。そして、マスクしたウエハー全体に原子のガスを流し、各ポケットに原子が沈んで2次元材料(この場合はTMD)が形成される。マスクのポケットが原子を捕捉し、シリコンウエハー上で原子が同じ単結晶の方向に集合するように促すものだ。

「これまで、シリコンウエハー上で単結晶の2次元材料を作る方法がなかったため、次世代プロセッサー用の2次元材料の開発はほとんど諦められていました。今回、この問題を完全に解決し、数ナノメートルより小さなデバイスを作ることができるようになりました。これは、ムーアの法則のパラダイムを転換させるでしょう」と、研究チームの Jeehwan Kim准教授は語っている。

fabcross for エンジニアより転載)

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