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サルパのようにコロニーを作るソフトロボット「RoboSalps」——地球外の水中探査も視野に

image credit:Valentina Lo Gatto

今回開発された水中ロボットは、神秘的な動物プランクトンであるサルパの形態と生態をモデルにしていることから、「RoboSalps」と名付けられた。サルパは生物学上ホヤの仲間に分類される、半透明の樽形のプランクトン性の尾索動物で、単独世代と集合世代を繰り返しながらコロニーを形成する複雑なライフサイクルを持っている。RoboSalpsも同様に軽い筒状の体を持ち、互いに連結して「コロニー」を形成することで、新たな能力を発揮するという。

ブリストル大学航空宇宙工学部の研究者 Valentina Lo Gatto 氏によると、RoboSalpsは、サルパにヒントを得た初のモジュール型ロボットで、各モジュールは非常に軽量で柔らかい管状構造と、泳ぐことを可能にするドローンプロペラでできている。これらのシンプルなモジュールを組み合わせることで、より堅牢で、複雑なタスクを実行する可能性を秘めたコロニーを形成することができるという。

また、複数のユニットを結合させることで、自動的に冗長システムを獲得し、故障に対する堅牢性が向上する。1つのモジュールが壊れても、コロニー全体で動くことができるのだ。軽量で強靭なため、海底、下水道トンネル、工業用冷却装置などの探査のほか、地球外の水中探査ミッション、例えば木星の衛星エウロパの地下の海での探査などに最適だという。

ソフトロボットのコロニーというのは、比較的新しい概念であり、期待される応用範囲が広い。RoboSalpsは柔らかく、エネルギー効率を高くすることができ、冗長性があるため堅牢だ。そのため、人間が直接コントロールできないような自律的なミッションに理想的だという。また、地球上だけでなく、地球外の繊細な生態系にも安全に対応できるため、環境破壊のリスクも軽減される。さらに、ユニットやセグメントを切り離したり、並べ替えたりすることができるため、システムの適応性を高めることが可能だ。

2024年には科学機器を搭載した木星周回探査機「エウロパ・クリッパー」が離陸し、エウロパを調査する予定だ。ブリストル大学の科学者たちが開発した新しい水中ロボットは、この上ないタイミングでの登場となったと言えるかもしれない。

fabcross for エンジニアより転載)

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