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太陽から「無限に」エネルギーを得て作動する、人工衛星向け純電気推進機を宇宙で実証予定

ワイヤレス電力技術の研究開発を手掛けている米IVOは、2023年3月15日、人工衛星用の純電気推進機「IVO Quantum Drive」を搭載した衛星を、2023年6月に地球低軌道(LEO)に投入する予定であることを発表した。同社はLEOで同機の性能実証を行い、技術の商業化を目指している。

IVOのCEOであるRichard Mansell氏は、2021年に純粋な電気推力が宇宙船に有効であることを発見し、そこからIVO Quantum Driveの発明へとつながっていった。

IVO Quantum Driveはすでに熱真空試験によりその正当性が証明されており、商業的に利用可能な世界初の純電気推進技術だ。その推進技術は、1ワットの電力で最大52mNの推力を達成しており、さらにユニットを積み重ねて出力を増大させることも可能だ。

太陽から無限に推進力を引き出すとされており、電気のみで駆動するため、従来の燃料搭載システムが不要になりペイロード増加が可能になる。排出物がないので衛星内部に搭載可能だ。また、モジュール設計であるため、どのような推力要件でも個々の宇宙船のニーズに合わせて多様に拡張できるという。

IVO Quantum Driveの性能実証は、IVOのパートナーである米Rogue Space Systemsの衛星に搭載して実施する。Rogue Space Systemsの最高業務責任者(CBO)であるBrent Abbott氏は、「Quantum Driveの小さなサイズと大きな能力は、燃料に依存しないコスト効率の良い宇宙船の開発に役立つ」と述べている。

Mansell氏は、Quantum DriveをRogue Space Systemsの衛星に搭載して軌道に投入することは、宇宙推進の未来にとって画期的なことであるとし、Quantum Driveの性能により、Rogue Space SystemsはΔV(デルタブイ)の制限がない新しい人工衛星を製造できるとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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