新しいものづくりがわかるメディア

RSS


MIT、ウェアラブルデバイスのプロトタイピングを可能にするフレキシブルなブレッドボード「FlexBoard」を開発

Credits:Photo: Alex Shipps

電子回路の試作に使われる一般的なブレッドボードは、電子部品を搭載して回路を構成できる薄いプラスチック製のボードだが、硬く、柔軟性に欠けるものだ。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは、このようなブレッドボードの使いにくさを解消するため、ボールや衣服のような曲面や変形しやすい表面にインタラクティブなセンサー、アクチュエーター、ディスプレイを搭載し、迅速にプロトタイピングできる、フレキシブルなブレッドボード「FlexBoard」を開発した。

研究者らは、従来の硬いブレッドボード本体を、上下両方向に可逆的に曲げることができる蛇腹状の「リビングヒンジ」とした。そして従来のブレッドボード同様にプロトタイピングできるよう、FlexBoard の個々のヒンジに従来同様の金属ストリップを挿入した。金属ストリップの間隔は2.54mmとなるようにデザインされており、これによりFlexBoard は従来のブレッドボード同様に回路を形成できることに加え、わずか 30 個のセグメントで上下に 360度 曲げることができる。このリビングヒンジ形状は、市販の3Dプリンターで再現でき、アイテムに縫い付けたり、エポキシ接着剤やマジックテープで貼り付けたりすることが可能だ。

研究者らは、このプラットフォームがさまざまなものに応用できることを示すため、ケトルベル(やかん型のダンベル)、ビデオゲームのコントローラー、手袋でテストし、センサーやディスプレイを各ヒンジ内の電子回路に取り付けられることを実証した。

実施例では、VRコントローラーに衝突警告システムを搭載し、VRヘッドセットを装着したプレーヤーが、周囲にぶつかる危険性がある場合に警告を発するデバイスのプロトタイプを作製した。従来の固いブレッドボードではセンサーの不作動領域が生じていたが、FlexBoardを使うことでそのような死角がなくせることを示している。

将来的には、FlexBoard によってトレーニング器具、キッチンツール、家具、その他の家庭用品がよりインタラクティブになる可能性がある。そのためにはプラットフォームをさらに最適化する必要があり、マルチマテリアル印刷による曲げ性、耐久性、強度の向上が必要であると研究チームは考えている。

FlexBoardは、2023年4月に開催された「2023 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems」で発表された。

fabcross for エンジニアより転載)

関連情報

おすすめ記事

 

コメント

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る