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折紙シートが自動で立体に——東大など、数万個の面を持つ多面体を自動的に折る技術を開発

東京大学、宮城大学、Nature Architects、エレファンテックなどの研究グループは、熱収縮性のシートに折紙のパターンを印刷し、そのシートを加熱することによって、多面体を自動的に折る技術を開発した。

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同グループによると、これまでも人手や機械の外力で折るのではなく素材自体が変形する内力で自動で折る「自己折り」の技術は複数提案されてきたが、自動で折れる折り線や面の数は最大で100程度しかなく、実現できる形状に大きな制約があり、複雑なパターンを簡単に製造する手法は存在しなかった。

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本研究では、工場やFabLabなどでも使用されている汎用UVプリンターに用いられるインクジェットプロセスの解像度を活用することにより、従来の1200倍以上の解像度を実現し、最大で10万本以上の折り目と数万個の面を持つ折紙を自己折りすることに成功した。

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折紙の研究分野では、理論上あらゆる多面体を1枚の紙から折れることが知られているが、そのような折紙パターンを手で折ると数時間から数十時間の作業が必要になる。本研究成果により、複雑な折紙パターンを数秒から数分で自己折りすることが可能になり、実質的にはどんな立体形状でも2次元の製造プロセスと自動変形により実現できることが明らかになった。

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造形の手順は、ユーザの望む3次元のモデルから2次元の折紙パターンを計算し、印刷パターンを熱収縮シートに印刷してから、パターンが印刷されたシートを約70度から100度の範囲で加熱する。

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シートが露出する部分が熱により収縮する一方、シートが露出していない部分の収縮はインク層により抑えられることで、目標としている折紙の形状が完成する。インクジェット印刷の精細さを活かして露出部の幅を0.1mm程度のオーダーで変化させると、それぞれの折り目の角度を0~180度の範囲で制御可能で、最小長さ3mm程度の折線パターンを折れるという。

photo a. 形と色を1度に印刷したノースリーブジャケット。b. 3426個の面で構成される帽子。
photo インタラクティブなポストカード :送った段階では何が書いているかわからないが、お湯をかけることでメッセージの内容がわかる。

汎用UVプリンターと熱収縮シートなどの素材があれば実現できるため、加熱するだけで好きな形に変形するプロダクトとして幅広く応用できるという。

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