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ソーラーパネルがヒント、雨滴で発電するシステムを開発

iEnergy, Tsinghua University Press

空から降ってくる雨滴から発生するエネルギーを集めて電気に変換することは、理論的に可能だ。これは、水の運動エネルギーを利用して発電する水力発電の小規模版といえる。この原理を利用して雨滴からクリーンエネルギーを生産しようとする試みはこれまでにもなされていたが、スケールアップの問題があり、実用化には至っていない。

中国の清華大学の研究チームは、太陽光発電で利用されるソーラーパネルの配置をヒントにブリッジアレイ発電機を開発し、雨滴から得たエネルギーを効率的に利用することに成功した。研究成果は、『iEnergy』誌の2023年6月号で公開されている。

これまで、液体と固体の接触帯電を利用した摩擦帯電型ナノ発電機(TENG)を利用して、雨滴エネルギーを電気に変換することに成功したという報告がある。しかし、液滴ベースのTENG(D-TENG)は瞬間出力は高いものの、1つのD-TENGでメガワット級の電力を継続供給することは難しい。解決策として複数のD-TENG接続が考えられるが、D-TENGは複数を接続するとパネルの上部電極と下部電極の間に意図しない容量カップリングが発生し、全体の出力が低下してしまう。

この問題を解決するために、研究チームはソーラーパネル型のブリッジアレイ発電機を開発した。この発電機はアレイ下部電極とブリッジ還流構造を備えている。「FEP表面と呼ばれるD-TENGパネルの表面に液滴が落ちると、液滴はプラスに帯電し、FEP表面はマイナスに帯電します。各液滴から発生する電荷量は小さく、FEP表面の電荷は徐々に散逸しますが、長時間経過するとFEP表面の電荷は徐々に蓄積して飽和状態になります。この時点で、FEP表面電荷の散逸速度は各液滴によって発生する電荷量と釣り合うのです」と論文の筆頭著者であるZong Li氏は説明する。

電極サイズやパネルの厚さが異なるさまざまなブリッジアレイ発電機で性能を検討したところ、各発電ユニットは互いに独立し、意図しない相互作用が低減していることが確認された。パネルの厚みが増すと表面電荷密度を維持したまま結合キャパシタンスが減少するため、ブリッジアレイ発電機の性能向上に役立つ可能性がある。

ブリッジアレイ発電機のピーク出力は従来型と比べて5倍ほど高く、200W/m2に達した。この発電量は大面積雨エネルギーハーベスティングにおける優位性を十分に示しており、大規模で効果的な雨滴エネルギーハーベスティングの実用化の可能性を有している。

fabcross for エンジニアより転載)

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