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何週間にもわたって汗を測定できる、ウェアラブルセンサーの開発

ペンシルベニア州立大学の研究チームが、3週間にわたって、汗の温度とpH値、特定のグルコース値を検出可能なウェアラブル・パッチを開発した。同研究成果は2023年9月13日、「Advanced Functional Materials」に掲載された。

汗を継続的に測定することで、体内のグルコース値などの健康に関する貴重な情報が得られる。しかし、従来のウェアラブルセンサーには、継続的な測定に必要な耐久性や感度が足りないという欠点があった。特に、汗中バイオマーカー濃度の低さやpHと塩分濃度、温度などの変動により、検出と精度に限界があった。

そこで今回、研究チームは、数週間にわたってグルコース値を測定するための優れた感度と安定性を持つセンサーを開発した。同センサーのベースには、柔軟で、作製コストの低い、「レーザー誘起グラフェン(LIG)電極」が用いられた。しかし、LIG電極は、グルコースに対する感度が低く、電気化学反応をする表面積が限られているといった制約がある。

研究チームは、簡単なレーザー処理を用いて、多孔性LIG電極上に金と銀の耐酸化/高導電性合金と炭素系ナノ複合材料の安定した3Dネットワークを形成した。

修飾したLIG電極表面では、グルコースがより低電位で酸化し、溶液中のグルコース濃度に比例する測定可能な電流または電位変化が生じる。また、時間がたっても非常に安定性が高いことが分かった。レーザー処理したセンサーは3週間で感度が9%しか低下しなかったのに対し、レーザー処理しないセンサーは20%低下した。

修飾したLIG電極は、グルコースの測定に加えて、pH値の測定も可能だ。ウェアラブルデバイスを製作するため、研究チームは、グルコースとpHのデュアルセンサーを別のLIGベースの温度センサーと組み合わせ、汗を連続的に集めて送るマイクロ流体チャンネルを備えた伸縮可能な層に統合した。

同デバイスでは、運動や食事などの活動から生じる汗のpHと体温の変動に基づいた、グルコース測定の校正が可能になる。同デバイスは、切手幅の約2倍のパッチとなっており、粘着テープで皮膚に貼りつけ、データを収集してコンピューターやモバイル機器にワイヤレスで送信し、リアルタイムで測定/分析できる。

多様な条件下で、使いやすく正確で、継続的な汗の分析を低コストで提供できることから、個人や集団の健康、個別化医療、栄養学にとって大きな可能性を秘めているという。

fabcross for エンジニアより転載)

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