夢を見ながら仕事ができる——明晰夢を誘発してコントロールするヘッドギア「Halo」
2024/01/06 06:30
明晰夢をコントロールすることで生産性を上げることを目的としたスタートアップ企業が、2023年に誕生した。AIスタートアップ企業であるPropheticは、明晰夢を誘発し、安定化するヘッドギアデバイス「Halo」を開発。2025年に発売を予定している。
明晰夢とは、眠っているときに「自分は今夢を見ている」と自覚しながら見る夢のことだ。夢を見ながら、その物語や登場人物、環境などを変化させ、夢をコントロールできる人もいる。自己認識や意思決定に関係する脳の前頭葉は、通常の夢を見ているときはあまり活性化していない。しかし、明晰夢の状態では前頭前野が活性化し、自分が夢を見ていることを自覚できるようになる。
Haloは、非侵襲的な刺激を神経に与えることで、明晰夢の神経活性化シークエンスパターンを人工的に再現するヘッドギアだ。超音波と脳波とfMRIデータを用いて作成した機械学習モデルを組み合わせて、眠っている人がレム睡眠に入ったことを検知し、明晰夢を誘発し安定化させる。この明晰夢の中では、非日常的な環境を構築したり、空を飛んだりすることもできるなど、常識にとらわれる必要がない。明晰夢での体験を制限する要因はその人の想像力だけだと、Propheticは同社のWebサイトで述べている。起きているときには思いつかないアイデアが、常識を超えられる明晰夢の中で、ひらめくかもしれないのだ。
一方で明晰夢を誘発させることについては、安全性やプライバシー、倫理的な問題について懸念もある。Propheticは、脳機能や身体への悪影響を引き起こさないために、厳格な試験をする必要があるとしている。また、悪用されないように、強い規制や保護措置の確立、倫理的ガイドラインの作成が不可欠だとも述べている。
現在Propheticは、オランダのDonders Instituteと提携し、明晰夢を見る人のfMRIと脳波の同時画像データのデータセットを取得する研究を行なっている。2024年には明晰夢を確実に誘発・安定化する技術を開発し、2025年のHalo発売を予定している。なお、同社のECサイトではHaloの購入予約を受け付けている。
(fabcross for エンジニアより転載)