筋組織で動く二足歩行バイオハイブリッドロボットを開発——細かな旋回運動も可能 東大と早稲田大
2024/02/02 06:30
東京大学は2024年1月27日、培養骨格筋組織で動く二足歩行のバイオハイブリッドロボットを、早稲田大学と共同で開発したと発表した。東京大学によると世界初となる。
生体由来の材料と人工物を組み合わせて製作するバイオハイブリッドロボットが近年注目を集めている。中でも駆動源に筋組織を用いたものが盛んに研究されているが、これまではほふく移動や魚のようなヒレを使った泳動など、大回りな旋回運動しかできなかった。
今回開発した二足歩行ロボットは、柔軟基板を搭載したポリジメチルシロキサン(PDMS)製の足と、歩行動作のための重り、培養液中で直立姿勢を維持するための浮き、そして培養骨格筋組織から構成されている。
培養骨格筋組織に電気刺激を与えると筋収縮運動が起こり、PDMS製の足が屈曲。歩行動作を行うとともに、重りが軸足を固定することで、細かな旋回動作ができる。回旋率(ロボット長/回転半径)は2.1で、従来のロボットの0.4に対して5倍強となる。2本の足の一方を駆動足、もう一方を軸足として使うことでロボットボディの内側を中心にして旋回できるようになり、従来よりも細かな旋回運動を実現した。
今回の研究結果は、筋組織を駆動源とするバイオソフトロボットの開発や、生物学的な運動メカニズムの解明に貢献することが期待されるという。また、薬剤添加時の運動改善効果の解析など、薬学や医学分野にも応用可能だという。
(fabcross for エンジニアより転載)