金のナノ粒子でできた半永久的に色あせないカラーフィルムを開発 静岡大学
2024/02/25 06:30
静岡大学は2024年2月21日、同大学工学部の研究グループが、金のナノ粒子でできたカラーフィルムを開発したと発表した。直径50nm程度の金ナノ粒子を自己組織化的に集積させた膜(およそ100億個のナノ粒子を集積)を作製し、PDMS(ポリジメチルシロキサン)を滴下することで、金ナノ粒子固有の発色を示したカラーフィルムとなる。
原料の濃度を高めるか量を増やすことで高い発色性を得られるが、強い光散乱性を有する金属ナノ粒子は、透過性が損なわれるため、いかに薄い領域内の面内濃度を高くするかが課題になっていた。
研究は、金属ナノ粒子を着色剤としたカラーフィルムの開発を目的に実施。金属を材料とすることで、顔料や染料などの着色剤では得られない発色性の高いカラーフィルムが得られ、その色はステンドグラスと同様に色あせない。
研究グループは、自己組織化的に最密充填配列させた金ナノ粒子単層集積膜を、シリコーンの一種であるPDMSフィルム上に形成。PDMS液をその上にさらに滴下すると、集積していた金ナノ粒子が浮き上がり、薄さ1μmの限定範囲に立体分散することを発見した。はじめに金属ナノ粒子を単層に集積させ、分散させることで、薄層でありながら粒子密度の高い膜を作製している。
PDMSは、フレキシブル性を硬化温度調整で得られるため、フレキシブルなステンドグラスとして曲面形成など、適用範囲が拡がる。また、金ナノ粒子の大きさや粒子形状を変化させ、紫、青、シアン、緑、マゼンタ、赤紫とさまざまな色のカラーフィルムを作製した。
今後、大面積に製造できる装置を開発することで、実用展開が期待される。フレキシブルディスプレイや宇宙などの過酷環境下でも使用できるようなカメラのカラーフィルタへの応用につながることが期待される。
(fabcross for エンジニアより転載)