Stratasys、月面での放射線遮蔽実験向けに3種類の3Dプリントモデルを提供
2024/04/15 06:30
Stratasysは、月面での材料性能試験用に3種類の3Dプリントモデルを提供すると発表した。地上で実施した試験から、放射線量を50%低減できる可能性が示唆されている。
同実験は、月面で研究開発サービスを提供するAegis Aerospaceにとって初となる宇宙科学技術評価施設ミッション「SSTEF-1」の一環として予定されている。SSTEFは、アメリカ航空宇宙局(NASA)のTipping Pointプログラムの下、Aegis Aerospaceが開発した商業宇宙試験サービスだ。SSTEF-1では、月と地球に近い宇宙空間向けインフラや機能向け技術開発にフォーカスし、Northrop Grummanの支援の下、Stratasysの実験が実施される。
最初の実験では Stratasysのタングステン充填フィラメント「Antero 800NA」でプリントしたモデルの性能を評価する。Antero 800NAは優れた機械的特性、耐薬品性、低いガス放出特性を備えたPEKKベースの高性能熱可塑性樹脂で、タングステンの添加により、ガンマ線やX線などの有害放射線の遮蔽効果を狙う。
2つ目の実験では、月面における3Dプリントモデルの材料性能を確認する。ESD特性を備え、電子機器や宇宙船のオリオンに採用された「Antero 840CN03」、高熱環境用に設計された新しいESDフォトポリマーの3Dモデル材料を、月の塵、ガス放出の原因となる低圧、大気がほとんどない環境から生じる急激な温度変化にさらす。
3種類の3Dプリントモデルのサンプルは、「ULTEM 9085」を使い3Dプリントしたキャリア構造モデルに収納され、無人着陸船によって月面に運ばれる。2つの放射線遮蔽実験を通じ、人や機器の安全性確保に向けた3Dプリンティング技術の開発を目指す。