PNNL、次世代の金属押出成形マシン「ShAPE 2」稼働開始を発表
2024/05/12 06:30
アメリカのパシフィック・ノースウエスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory:PNNL)は2024年4月2日、2023年末に納入された次世代の金属押出成形マシン「ShAPE 2」を稼働していることを発表した。
ShAPE(Shear Assisted Processing and Extrusion)は、PNNLが特許を取得したせん断支援加工および押出技術だ。従来の金属押出成形が外部熱でビレット全体を軟化するのに対し、ShAPEは回転ヘッドの摩擦でダイに入るビレット部分だけを加熱して軟化させる。これにより、従来とは異なる化学的性質と微細構造を備えた部品の製造が可能になる。
また、使用済みのアルミニウムスクラップを原料とした押出成形も可能になり、従来のリサイクル方法に比べて内包エネルギーと二酸化炭素排出量を90%以上削減できるという。
Bond Technologiesによって設計および製造されたShAPE 2は、7年前のShAPE 1に比べてモーター出力が3倍、トルクが4倍、ラム力は50%増加している。成形できるサイズは、ShAPE 1が直径12.7~19.05mmであったのに対し、ShAPE 2は最大直径が38.1mmまたは50.8mmに拡大、スケールアップしたことにより、ウェビングなどの複雑な押出成形もできる。
押出成形される産業部品の多くは、直径101.6mm程度を必要とする。約半分のスケールで部品を製造できるShAPE 2は、ShAPE技術の産業応用に向けた大きな一歩であり、建物や自動車製造、産業脱炭素化など、幅広い研究分野で使用されることになるという。
(fabcross for エンジニアより転載)