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水の2.5倍の密度の流体を用いて、水力発電の2.5倍の電力を供給するシステム——イギリスで実証機を建設

長期水力エネルギー貯蔵システムを開発しているイギリスの企業RheEnergiseは2024年4月29日、水の2.5倍の密度を持つ流体を用いた、高密度水力貯蔵システム「HD Hydro」の実証機を建設すると発表した。この種のシステムの実証機建設は世界初のことだという。建設作業は間もなく開始され、9月には試運転が開始される予定だ。

長期エネルギー貯蔵技術のHD Hydroシステムは、低コストでエネルギー効率が高く、環境にも優しいのが特徴だ。水力発電は、高い所に貯めた水を低い所に流すときに生じる位置エネルギーを利用して電気を生み出す仕組みだが、このシステムでは水の代わりに、同社が開発した高密度の流体を使用。密度は水の2.5倍になるという。それにより、スコットランドのハイランド地方やウェールズなど世界各地で稼働している従来の低密度水力発電システムと比較して、2.5倍のエネルギーを供給できる。

今回RheEnergiseは、ベルギーを拠点とし、工業用鉱物の採掘、加工、販売をしている国際的企業のSibelcoと協力。実証機をイングランド南西部のプリマス近郊のCornwoodにある、Sibelcoの採掘現場に建設する。実証機が発電する電力(ピーク発電量は500kW)は、エネルギー需要の高い時間帯にSibelcoの採掘作業をサポートし、同社の脱炭素化への取り組みを促進する予定だ。この採掘現場では、衛生陶器、セラミック、タイル、そして工業用途に主に用いられるカオリン(粘土類鉱物)が産出する。

このプロジェクトは英国政府による、より長期のエネルギー貯蔵(Longer Duration Energy Storage: LODES)実証プログラムの支援を受けており、デボン郡議会の許可も得ている。

RheEnergiseはさらに、今後2年以内に10MWのグリッド規模のプロジェクトを稼働させることを目指している。

※記事初出時、文中に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

fabcross for エンジニアより転載)

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