テキサス大学、ドローンにワイヤレスで電力を供給する新技術を開発中——DARPAが支援
2024/06/26 06:30
テキサス大学ダラス校は2024年5月17日、同大学電気工学コンピューター工学助教のIfana Mahbub博士が国防高等研究計画局(DARPA)長官フェローシップを受賞し、飛行中の無人航空機(UAV)を充電するためのワイヤレス技術の研究/開発の継続を発表した。
現在のワイヤレス電力伝送技術は、スマートフォンのワイヤレス充電のような非常に短い距離での低周波電磁波を介したものに限られている。
それに対し、「遠距離ワイヤレス電力伝送(パワービーミング)」と呼ばれる開発中の技術は、電磁波を遠距離で送受信するものだ。この技術を用いれば、UAVは給電のために着陸することなく充電できるようになる。
遠距離パワービーミングの問題の1つは、途中で電磁波が散乱することだ。その解決策として、Mahbub博士と研究チームは、送信機システムとしてフェーズドアレイアンテナと呼ばれる小型アンテナを使用し、電磁波を目標の経路に沿って誘導する方法をとっている。Mahbub博士は、経路損失を最小限に抑えられるように波形を設計することが目標だと述べている。
さらに、信号が正しい方向に進むように、テレメトリー(遠隔測定法)を使ってUAVの動きをリアルタイムで追跡。それにより、動くUAVに絶えず電力を供給するようビームを操縦できる。
Mahbub博士によると、この考えは電気自動車、携帯電話、ウェアラブルデバイスなど、他の技術にも適用できるという。自動車や携帯電話の遠距離充電を促進するには、建物やその他のインフラに送信機を設置する必要がある。そこでMahbub博士は、米国連邦通信委員会が定めた安全レベルで低周波電磁波を使用できる、埋め込み型デバイス用のワイヤレス充電技術の開発にも取り組んでいる。
(fabcross for エンジニアより転載)