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100%生分解性の「大麦プラスチック」を開発

Photo: Andreas Blennow

デンマーク・コペンハーゲン大学は2024年6月18日、同大学の研究者らが大麦のデンプンなどから、100%生分解性プラスチックを開発したと発表した。この新素材は、従来のプラスチックの数分の一の時間で分解される。環境汚染に歯止めをかけ、プラスチック製造に伴う気候変動への影響の軽減が期待される。

プラスチックは耐久性があり安価で、包装から衣料品、航空機部品に至るまで多用される一方で、欠点も多い。再利用が難しく、世界中でリサイクルされるプラスチックはわずか9%。海や路上のプラスチックごみによる環境破壊も問題となっている。また、プラスチック製造過程で、すべての航空交通で発生するよりも多くの二酸化炭素が排出されるという。

新たなプラスチック素材は、大麦デンプンとサトウダイコン廃棄物の繊維をブレンドした改質デンプンで、2カ月で完全に分解する。天然植物由来で、食品包装に使用できる。強度でも耐水性でも、既存のバイオプラスチックを上回る。さらに、100%生分解性があることで、捨てられても微生物により堆肥に変えられる。

研究チームが開発した新素材は、自然に分解する複数の異なる物質で構成されるバイオ複合材で、主成分は、植物に共通するアミロースとセルロースだ。アミロースはトウモロコシ、ジャガイモ、小麦、大麦など多くの作物から抽出できる。研究チームは、純粋なアミロースを生成する大麦の新品種を開発した。純粋なアミロースは、水と作用してもペースト状になりにくい。セルロースは、すべての植物に含まれる炭水化物で、今回は地元の砂糖産業の廃棄物から得られたナノセルロースを使った。 麻や綿の繊維の1000分の1というこの小さな繊維質が、素材の機械的強度を向上させる。

アミロースとセルロースを組み合わせることで、長く強固な分子鎖が形成され、耐久性と柔軟性を備えた素材となった。原料を水に溶いて混合するか、圧力をかけて加熱すると、小さなペレットやチップになり、圧縮加工により成型する。まだ研究室における試作段階だが、生産は比較的容易だ。

研究者らは特許を申請中で、デンマークの包装会社2社と食品包装などの試作品を開発しているほか、自動車の内装などさまざまな用途を想定している。トレー、ボトル、バッグなど、さまざまな製品のプロトタイプが1~5年以内に開発される見込みだという。

fabcross for エンジニアより転載)

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