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3Dプリンターを使って顔面非対称矯正手術の治療を支援

患者の顔とSTLデータ:健側モデルと患部側モデルの2つの体積差を特定して手術用ガイドを作成。

Formlabsの3Dプリンターによる手術用ガイドなどを活用することで、顔面非対称矯正手術の治療結果が大幅に改善した事例をシステムクリエイトが公開した。

顔面非対称矯正手術では、脂肪の注入量や注入位置を正確に計画することが必要だ。システムクリエイトによると、従来の2D写真や経験に頼った方法では正確性に限界があり、手術結果が期待どおりにならない場合があることが課題だった。

今回公開されたのは、アメリカのイリノイ大学顔面頭蓋奇形センターが実施した事例だ。同事例では、まず患者ごとにスキャナーを使って高精度3Dデータを取得し、顔面の形状の非対称性をデータ化する。それを基に、解剖学的な構造に基づいて分割した顔のパーツのSTLモデルを生成し、どの部分の補足が必要になるのかを特定する。健側(けんそく)のデータを反転させて対称性を確認しながら術後の状態を評価する「術後評価用マスク」を製作する。

3Dプリンター製の手術用ガイド:体積欠損部位を示すマーキングと、脂肪の注入位置を示す穴がある。 3Dプリンター製の手術用ガイド:体積欠損部位を示すマーキングと、脂肪の注入位置を示す穴がある。

また、術後評価用マスクと同様の方法で、患部側のボリューム不足を特定できるように「手術用ガイド」を製作する。手術用ガイドは水に入れて体積を特定し、必要な脂肪量を算出。ボリュームが不足している箇所にはマーカーで脂肪注入位置に穴を開けて印を付ける。

手術では滅菌した手術用ガイドを患者の顔面に装着。脂肪注入位置をマーキングした後、計測した必要脂肪量に基づき脂肪を注入していく。

今回採用した手法によって、術前の体積欠損の推定と手術室での注入量の間の精度が80~100%であることが実証された。また、イリノイ大学顔面頭蓋奇形センターでは、同手法のデジタルワークフロー導入によって、外科医が直感に頼る度合を減らす利点があることも実証した。

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