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筋トレがニューロンの成長も促進するという研究結果 MIT

Credit: Angel Bu

マサチューセッツ工科大学(MIT)は2024年11月、筋肉の収縮運動がニューロンに与える影響についての研究結果を発表した。生理活性物質の分泌による生化学的な影響のみならず、物理的な運動そのものも、ニューロンの成長に効果的であることがわかったとしている。

運動が身体にプラスの影響を与えることは明らかだが、これまでそのメカニズムは十分に解明されていなかった。ただ、近年、反復的な筋収縮が、骨格筋(筋肉)から分泌される生理活性物質の総称である「マイオカイン」を増大させることがいくつかの研究で示されている。また、2023年にMITが発表した研究では、光に反応して収縮するよう遺伝子操作した筋肉組織を後ろ足の筋肉が失われたマウスに移植すると、光照射による筋肉の収縮運動を続けた2週間後に、健康なマウスと同等レベルの運動機能を取り戻した。神経が筋肉を制御するのは周知の事実だが、逆方向、つまり筋肉から神経に対しても働きかけがあるのは研究者にとっても意外だったという。

今回の研究ではこれまでのこうした研究結果から、運動ニューロンに対するマイオカインの影響と、物理的な運動の影響の解明に焦点が当てられた。まず、マウス由来のニューロンをマイオカイン溶液にさらしたところ、マイオカイン溶液にさらされていないニューロンよりも4倍速く、急速に成長し始めるのが観察された。さらに、マイオカインへの曝露はニューロンの成長だけでなく、成熟度や機能性にも影響を与えることがわかった。次に、運動の影響を調べるため、小さな磁石を埋め込んだ専用のジェルマット上でニューロンを培養し、外側から磁石を当てて、ニューロンを物理的に前後に揺らすことで、1日30分間ニューロンを運動させた。すると、マイオカインと同程度にニューロンの成長が刺激され、運動をまったく受けていないニューロンと比べ大幅な成長が見られた。

研究チームは今回の成果を活かし、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経変性疾患を持つ人々の運動能力を回復させるため、標的を絞った筋肉刺激の最適な方法について研究を続ける予定だ。なお、研究論文は『Advanced Healthcare Materials』に掲載されている。

fabcross for エンジニアより転載)

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