SOLIDWORKS WORLD 2016レポート
教育機関やスタートアップの支援、子ども向けアプリ提供——ソリッドワークスが注力する次世代エンジニア教育
エンジニアへの興味を持たせるには10歳では遅い
——基調講演でデモンストレーションした、子ども向けものづくりアプリSOLIDWORKS Apps for Kidsはなかなか面白いと感じました。ただ、ミドルレンジ3D CADであるSOLIDWORKSとの間にギャップがあるように感じたのですが、それを埋めるようなものはお考えでしょうか。
Apps for Kidsは4~12歳向けとして開発しています。SOLIDWORKSは10歳くらいの子どもならばもう十分使えます。そのため間を埋めるようなソフトは考えていません。
残念ながら日本では文部科学省の学習指導要領で、3D設計は高校レベルで教えるよう決められているために、中学生以下ではなかなか学ぶ機会がないのです。実際の所、アイルランドやフランス、米国では10歳くらいの子どもが3Dモデルのコンポーネントを作るような教育を受けています。実はある調査によると、設計、芸術、エンジニアリングというようなコンセプトを子どもたちに教えようと思ったら、10歳になってからでは遅く、10歳から教えても子どもたちはエンジニアという職業をなかなか選ばないという結果が出ているのです。
——エンジニアを目指すきっかけになることを狙っているわけですね。Apps for Kidsのリリース時期や価格は。
3月にベータ版をリリースし、その後5月までに2つのアプリを正式リリースしたいと思っています。ユーザーや子どもたちからのフィードバックによって変わるかもしれません。それから価格ですが、まだはっきりとは決めていません。すべてWebベースで提供するアプリのため、大規模なクラウドシステムが必要です。ただ、有料になるとしても安価なものにしたいと考えています。
——基調講演では、スタートアップ向けにSOLIDWORKSを提供する支援プログラム「SOLIDWORKS for Entrepreneur」を2015年7月にスタートしたとありましたが、日本での予定はありますか。
米国やヨーロッパの一部の国で始めたSOLIDWORKS for Entrepreneurプログラムには、半年ほどで100あまりのスタートアップが参加しました。日本からも英語ベースであれば応募は可能です。いまソリッドワークス・ジャパンと、日本できちんとこのプログラムを始めるためにどうすればよいか詳細を詰めているところです。近い将来ぜひスタートしたいと思っています。