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SOLIDWORKS WORLD 2016レポート

教育機関やスタートアップの支援、子ども向けアプリ提供——ソリッドワークスが注力する次世代エンジニア教育

2月1日から3日にかけて米国テキサス州ダラスで開かれた、ミドルレンジ3D CAD「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS WORLD 2016(SWW2016)」(主催:米Dassault Systemes Solidworks)に全世界から5000人を超えるユーザーやパートナー企業が集結した。筆者が注目したことの一つが、各地に存在するコミュニティに子どもたちが出入りしていることだ。高価なミドルレンジ3D CADを、子どもが操作しているのである。これはDassault Systemes Solidworksが、次世代のエンジニアを育てることにいかに力を入れているかを示すものだ。FabLabともつながりが深い同社の教育関係の取り組みと、2日目の基調講演で発表された子ども向けアプリ「SOLIDWORKS Apps for Kids」について、教育市場/コミュニティ担当ディレクターのマリー・プランチャード氏に聞いた。

プランチャード氏はかつて教員として、まだ米国内でもSTEM教育(Science、Technology、Engineering、Mathematicsを連携させて教える教育手法)が知られていない頃から学生を教えていた経歴を持つ。全米科学財団からSTEM教育向けの助成金を受けることがあったとき、Dassault Systemes Solidworksから提供されるリソースの恩恵を受けたという。

Fab Foundation/FabLabをバックアップ

——教育関連では世界的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。

教育関係のアウトリーチプログラム(学習の機会を与えて学習意欲を呼び起こす活動)として最も大きなものは、さまざまなレベルの教育機関を通じて240万人の生徒/学生に提供しているSOLIDWORKSの学生版です。また当社はFab Foundationの創立メンバーであり、世界中のFabLabに1つずつSOLIDWORKSの商用版を提供しています。そのFabLabでFab Academyという教育プログラムを実施している場合は、SOLIDWORKSのエデュケーションネットワーク版を10本提供します。 

Dassault Systemes Solidworksのマリー・プランチャード氏。 Dassault Systemes Solidworksのマリー・プランチャード氏。

——なぜFab Foundationに協力することになったのでしょうか。

“FabLabの父”ニール・ガーシェンフェルド先生と、以前から強い関係がありました。そして、いわゆるMakerコミュニティや、Dassault Systemes Solidworksが力を入れている、教育、コミュニティ、起業家の3つの分野において、Fab FoundationとFabLabは多大な貢献をしているので、協力したいと考えました。FabLabの年次カンファレンスである“FAB(世界ファブラボ会議)”も支援していて、2014年の“FAB10(バルセロナ)”、2015年の”FAB11(ボストン)”、今年開催される”FAB12(深セン)”のスポンサーになっていますし、ワークショップには私もパネリストとして参加しています。Fab Foundationからこれまでの貢献を認められ、Fab Foundationの理事会メンバーにもなっています。 

日本でも多数の学校や学生をサポート

——FabLab以外で、日本での教育関連の支援はどのようなものがありますか。

日本での最近の活動としては、自動車技術会(JSAE)が開催する子ども向け体験イベント「キッズエンジニア2015」に、SOLIDWORKSを使ってものづくりの基本を楽しむワークショップを作って提供しました。大学、工業大学、高専、工業高校など、日本の幅広い教育機関において強い存在感を持っていると考えています。早稲田大学、東北大学、大阪府立茨木工科高校には訪日時に伺いました。また、学生の自主的な活動、例えば「学生フォーミュラ」、「鳥人間コンテスト」、「(各種の)ロボコン」に出場するチーム向けの協力も行っています。

支援の具体的な中身は、研究や講座に対する支援、それから学生に「SOLIDWORKS認定アソシエイト(CSWA)」の資格を取ってもらうというものです。日本では大手自動車メーカーから町工場までSOLIDWORKSを使っていただいているユーザーがいらっしゃいますので、そういった企業への就職に向けての準備ということになります。全世界では7万人の学生がCSWA資格を取得しています。 

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