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イベントレポート

小学生たちがITものづくりに没頭! 3種のデバイスを使ったワークショップ開催

PETS

PETSは、TMCNメンバーが開発した低学年向けプログラミング体験デバイスだ。PCやタブレットを使わずにアルゴリズムを体験できる。

STEM教育においては、工学に対応するアルゴリズムやプログラミングが対象となり、ワークショップのイントロダクションではロボットについて紹介し、ロボットを動かすプログラムを子どもたちが作ることを認識させてから体験を始める。オバマ大統領やビル・ゲイツ、マーク・ザッカ—バーグがビデオに登場し、プログラミング教育の必要性を唱えたCode.orgをご存じだろうか。そのCode.orgで具体的なプログラミング学習のツールとなっているのが「Hour of Code」である。すでに180カ国以上から数千万人の生徒がワークショップを体験しているという。このHour of Codのトレーニングでは、プログラムを書いてアナ雪やアングリ—バードなどのキャラクターを目的地まで移動させる。PETSはこの目的地までの移動プログラミングを、PCなどを使わずにロボット単体で実現している。 

自分でプログラムしたロボットはペットのように愛着がわく。 自分でプログラムしたロボットはペットのように愛着がわく。

スピードは亀のように遅いが、自分でプログラミングした通りに動くロボットは、自分の分身やペットのように愛着をもって課題に取り組むことができる。今回も3人ほどの保護者が、自分の子どもがすごく没頭している様子を見て驚き喜んでいたことが印象に残っている。

失敗してもすぐにやり直し。 失敗してもすぐにやり直し。

Sphero

Spheroは、野球のボールほどの大きさの球体を、タブレットからの指示で制御できるおもちゃ。最近ではスターウォーズの最新作にでてきたBB-8のおもちゃのベースとなっていることでも知られている。タブレットをリモコンにして操縦できるが、プログラミングによる制御も可能なデバイスである。STEM教育においては、技術と工学が対象となる。なぜこのように転がりを制御できるのか、アプリでSphero内部の構造を学ぶこともできる。

まずは自由に操縦できるようにセッティング。動く仕組みも理解します。 まずは自由に操縦できるようにセッティング。動く仕組みも理解します。

今回は、リモコン操縦をした後にプログラミングによる制御を体験してもらった。他のロボットでは体験できないスピード感は子どもたちの興味を引いた。そして普通のスマホで操作できるおもちゃと異なり、プログラミングによる自律制御も可能である。

与えられたモノを使って遊ぶだけでなく、プログラミングによって、より賢いモノに仕上げていく体験が提供できていた。しかし、年齢が低い子どもは、プログラミングよりもリモコンで操縦する方が楽しく、他のエリアにまでSpheroを転がしてしまうことも見受けられた。この点に関しては、今後の改善が必要と思われる。 

床にタブレットを置いてプログラミングに挑戦。上に投げると色が変わる。 床にタブレットを置いてプログラミングに挑戦。上に投げると色が変わる。

体験教室終了後に、子どもに保護者が感想を聞きつつ、保護者が記入するアンケートやインタビューを実施した。結果として、満足度は非常に高く、今後につながるコメントも多く収集することができた。例えばSpheroの場合には、動作スピードが速いため、プログラミングと動きの対応があいまいになってしまうなど、進め方の改善すべき事項が明らかになった。参加した保護者から多く寄せられた意見は、PCやタブレットでの開発でなく、モノを使った開発であったことの喜びであった。

PCやタブレットの画面の中の動きと異なり、実際のモノは作った本人へのフィードバックが強い。自分の考えが物体の動きとして表現でき、うまくいけば自慢もできる。

MITのシーモア・パパート名誉教授が提唱する「Constructionism」という教育理論がある。手でモノを触りながら組み立てる行為は、頭の中の知識を生み出し、高度な解決策を編み出すと言われている。今回の体験教室も、子どもたちの頭の中でこのような化学反応がされていたことを期待する。実際に子どもたちの笑顔や集中度を見ていると、知識の成長は判断できないが、興味と関心が醸成されたことは判断できる。

参加した20組ほどの親子に対してSTEM教育の認知度を上げ、子どもたちの興味と関心を醸成することはできた。しかし、世の中一般の認知を上げるためにはまだまだと認識している。今後は、今回の体験教室のノウハウを蓄積し洗練化させ、広く展開できるように取り組みを進める。明るい未来を作る子どもたちの成長に関われれば幸いである。 

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