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自作ゲームのススメ by TMCN

おもちゃは捨てるな!改造してリサイクルしろ! Kinectとプラレールで作る「プラレース」

プラレースの制作者である、TMCNメンバーの初音玲さんに、開発の意図と経緯を訊いてみた。

「もともと、プラレールを外部(スマホなど)からコントロールしてみたいと構想していたところへ、今回の『子ども×センサ』の話がきたんです。それで子どもがやるのなら、スマホでこぢんまりとやるより、実際に動いてもらった方がおもしろいかなと思いました」 

制作者の初音玲さん。本業はソフトウェアエンジニア。 制作者の初音玲さん。本業はソフトウェアエンジニア。

センサを使ったゲームの場合、測定データをPCに取り込み、PCのアプリ内で処理をして完結させるものがほとんどだが、プラレースはPCの外に出し、現物(プラレール)の動きとして反映させている。小学校の体験授業で展開したところ、
「自分たちの知っているプラレールが、自分たちの知らない動きをしている!」と、子どもたちの反響は大きかった。

「本来は、走り終わってからタイムという形で評価されるランニングフォームの良し悪しを、列車の走りで見える化することによってリアルタイムに改善し、みるみるうちに列車を速く走らせられるようになります。始める前よりも、腕の振りが大きくなるなど変化するのです。大人と違ってなかなか自分の体の動きを客観視できない子どもにとって、目の前にある列車の速度として見ることが、間接的とはいえ自分の体の動きを確認することにつながるのだと思います」

ユーザーが楽しさを実感できるゲーム作り

プラレースはアスリート養成ソフトではないので、正確なフォームを作るのが最終目的ではなく、どのように体を動かせば速く走る(電車が動く)のか、正確な動きになるのか……そこに至る創意工夫や試行錯誤こそが、このゲームのおもしろさだ。そうしたものの先には達成感が現れる。

体感ゲームの場合、速さや強さなど、身体能力で結果に差がつきがちだが、正確さとなると、大人と子どもや男女の差がなく公平に臨める。そもそも正確なフォームで走るというのは、とても気持ちよいことなのだ。ユーザーが楽しさを実感する、これは初音さんのものづくりへのこだわりでもある。

「センサが個人レベルで入手できるようになり、ものづくりの可能性が大きく広がりました。せっかく現実の世界をセンサで捉えているのだから、ただPCに取り込んでその中だけで終わらせるのはもったいないですよね。『やってみた』ではなく、『やってみたらこんな結果が出た』『こんなふうにおもしろかった』まで体感してほしいですよね

「正確さ」が柱となるため、判定のポイントはプロのアスリートのフォームなどを参考に微調整を重ねた。 

小学校で展示された時の様子。コースはスペースによって自由に組み替えることができるのも、プラレールならではの特徴。 小学校で展示された時の様子。コースはスペースによって自由に組み替えることができるのも、プラレールならではの特徴。

プラレースをやってみて、美しいフォームで走れるようになったらプラレールも速く走った、走ることが気持ちよかった。参加した子どもたちも次にやる前に、何度もフォームの確認をする。ディスプレーに映る自分の姿を見ながら腕の振り、膝の上げ方をチェック。その真剣な様子はとても微笑ましい。

初音さんの思いはユーザーにしっかり届いているようだ。 

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