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新製品レビュー

サードパーティのフィラメントに対応しレーザー刻印もできるようになった「ダヴィンチ 1.0 Pro」

サードパーティ製フィラメントでの使い勝手はどうか

サードパーティ製フィラメントによる出力サンプルの比較。同じフィラメントを使い、上がダヴィンチ 1.0 Proによる出力で、下が他社の3Dプリンタによる出力。 サードパーティ製フィラメントによる出力サンプルの比較。同じフィラメントを使い、上がダヴィンチ 1.0 Proによる出力で、下が他社の3Dプリンタによる出力。

1.0 Proの目玉機能の一つが、サードパーティ製のフィラメント(1.75mm、ABS/PLA)が利用できるようになったこと。今回のレビューでも、サードパーティ製フィラメントを使用してみたが、特別な設定の必要もなくPLAの設定のままで造形することができた。恐らく温度設定が純正のフィラメントとほとんど同じだったことが要因と思われる。ただ、本体にフィラメントホルダーがあるとさらに使いやすくなりそうだ。

本体にフィラメントホルダーがないため、取材時は別の3Dプリンタのフィラメントホルダーで代用。 本体にフィラメントホルダーがないため、取材時は別の3Dプリンタのフィラメントホルダーで代用。

1.0 Proでは制御用ソフトウェアも進化している。新たなソフトウェア「XYZware for Pro」では設定項目が増え、詳細な出力設定が可能になった。また、モノクロ液晶画面に表示される操作手順に従って操作するだけで、簡単にキャリブレーションを行うことができるなど、メンテナンス性も向上している。

サードパーティ製フィラメントへの対応もあってか、制御用ソフトウェアの設定項目が大幅に増えた。 サードパーティ製フィラメントへの対応もあってか、制御用ソフトウェアの設定項目が大幅に増えた。

レーザー刻印機能は実用的か

1.0 Proでは新たな機能として、オプションのレーザーモジュールを搭載することで紙、木材、革などの素材にレーザーで図形やイラストを刻印できるようになった。実際に使ってみると、特に事前に設定を調整することなく、濃さを選ぶだけで初心者でも気軽に利用することができる。ただし、今回のレビューでは、パソコン上のプレビュー画面と実際の刻印で濃淡のコントラストに多少のズレがあったので、素材ごとに試してみる必要があるだろう。

「一般的なレーザー・カッターのように、材質をパラメータとして設定できるようになればさらに使いやすくなると思います」(毛利さん)

レーザー刻印の様子。 レーザー刻印の様子。
コルクへの刻印サンプル。 コルクへの刻印サンプル。

より精細な造形が可能になり上級者にお薦め

今回のレビューの総評としては、造形品質の向上が見られ、積層の目の整い方が1.0Aよりもきれいになっている。その進化の要因として、1.0 Proではフィラメントを装着するガイドチューブの工夫によって、フィラメントが自動的にローディングされようになったことがあげられるだろう。これによりフィラメントの取り付けが楽になり、吐出量が安定するので造形品質が上がったように思われる。また、1.0Aではエクストルーダーがノズルへの押し込みと、ボビンからの引き出しの両方の役割を担っている。この方式では、ゴムのように伸縮するフィラメントを使う場合、ボビンとノズルの間でフィラメントが伸びてしまうことがあり、しっかりとノズルに送り込むことが難しくなる。これに対してオートローディング方式では、材料や負荷に応じてフィラメントをバランスよくノズルに送り込むことができるので、サードパーティ製のゴム系フィラメントが使える可能性も出てきた。

一方で、1.0 Proの造形物には、積層の目の均等さが甘い個所や、ヘッドの熱で形状再現性が甘くなって小さい部分の形状が崩れるなどの現象が見られることから、PLAフィラメントに限ってはまだ冷却が足りないかなと感じる部分もある。1.0 Proには吐出したフィラメントを冷却する機能が付いていないので、今後の改善点として要望したいところだ。

「今回は試してはいないのですが、キャビネットのドアを開けて、吐出したフィラメントをファンで冷やしてあげたら、PLAの造形はもっときれいになると思います。同クラスの他社製品のように、筐体の内側にファンのようなものを付けてほしいところです。とはいえ、必要なものがしっかりそろっているシンプルな製品で、サードパーティ製フィラメントが使え、パラメータの細かい調整ができて10万円を切る価格はとても魅力的です」(毛利さん)

ダヴィンチ1.0 Proは、3Dスキャナの搭載や2色印刷への対応など派手な機能はないが、上級者の方や、今持っている3Dプリンタよりも上の機能が欲しい、いろんなフィラメントを使いパラメータをいじってより高度な造形を楽しみたいと思っている人には、間違いなくお薦めしたい機種である。

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