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コーヒーはサイエンスでありIoTだった! 自分だけのブレンドコーヒーを開発できる工房に行く

酸味、苦味、香りの配合——科学実験のようなブレンドの奥深い世界へ

試飲用のスプーン。これをズズっとすすってフレーバーの違いを確認する 試飲用のスプーン。これをズズっとすすってフレーバーの違いを確認する
岡田

「Qグレーダーは農園等からの依頼に基づきコーヒーを鑑定するわけですが、3人以上が100点中80点以上の点数をつけることによりスペシャルティコーヒーとして認定されるんです。なので、Qグレーダーを取得して以来、農園や商社から常にベストな豆が届くようになりました(笑)」

越智

「確かに適当な豆を送って、評価が下がったら死活問題だ」

ちなみに嗅覚は20代がピークで、一般的に男性よりも女性の方が優れているそうだ。

コーヒーの評価シート。この点数がコーヒー農家の評価にもつながるので責任重大だ。だからこそ、Qグレーダーの試験も厳しいそうで、一発で全ての試験にクリアするのは至難の業だとか。 コーヒーの評価シート。この点数がコーヒー農家の評価にもつながるので責任重大だ。だからこそ、Qグレーダーの試験も厳しいそうで、一発で全ての試験にクリアするのは至難の業だとか。
渡辺

「南米は今まで飲んできたコーヒーのイメージに一番近い気がする」

淺野

「アジアは癖がありますね」

岡田

「缶コーヒーも含めて、南米はコーヒーの王道の味で、毎朝飲むためのブレンドを作る人は南米の豆をベースにする人が多いですね。酸味やフルーティーな味が好きであればアフリカを足していくとか、少しずつ混ぜて飲んで下さい」

カップの中で3種類のコーヒーを混ぜながら、理想のブレンドを探す。 カップの中で3種類のコーヒーを混ぜながら、理想のブレンドを探す。
すでに嗅覚/味覚のピークは過ぎているが、違いはそこそこ分かる。 すでに嗅覚/味覚のピークは過ぎているが、違いはそこそこ分かる。

最新の焙煎機でロースト

自分のイメージするコーヒーのブレンドが固まったらブレンドして焙煎する作業へ。3つの生豆をスケールで図りながら、合計が100グラムになるよう配合していく。

これを これを
こうして こうして
事前に良い豆のみを選別済みだが、焙煎の前に再度岡田さんが選別する。 事前に良い豆のみを選別済みだが、焙煎の前に再度岡田さんが選別する。

その後、好みの焙煎度合いにあわせて焙煎。一般的に浅煎りは苦味が抑えられる分、酸味やフルーティーな香りが強くなるが、深煎りなら酸味や香りが抑えられ苦味が強くなる。
豆の配合と焙煎度合いによって、コーヒーの味を自由に決められるのがブレンドコーヒーの醍醐味だ。

佐々木

「なぜ、シングルオリジン(単一の豆のみのコーヒー)が流行ってるんですか?」

岡田

「それぞれの豆の特徴を理解するのにベストなのがシングルオリジンだからというのはありますね。ブレンドの場合、地域ごとの特徴って分かりにくいですよね。自分好みのコーヒーを見つけたいという人たちからのニーズが高まっているということだと思います。ただし、個人的には、再びブレンドの時代が来るんじゃないかなと思います」

最新の焙煎機でオリジナルブレンドを作成

豆の配合と焙煎度合いが決まったら、いよいよ焙煎機に豆を投入する。さすがにマシンの操作は素人には分からないので、ここからはQグレーダーだけでなくコーヒーマイスターの資格も持つ岡田さんにお任せする。

温度や時間など設定したら、熱風で一気に焙煎していく。 温度や時間など設定したら、熱風で一気に焙煎していく。
岡田

「熱風式焙煎機はクリーンな味に仕上がるのが特徴ですね。香りが飛びにくいというメリットもあります」

非接触温度計で温度を測りながら焙煎する。 非接触温度計で温度を測りながら焙煎する。
焙煎が進んでいくと、色が次第に濃くなっていくのが分かる。 焙煎が進んでいくと、色が次第に濃くなっていくのが分かる。

焙煎が終わると一気に急冷する。そのままにしておくと焙煎が進んでしまうためだ。

それぞれ5分から8分程度で焙煎は終了。イメージしていた通りのコーヒーができたか、その場で豆を挽いてドリップして試飲する。

それぞれのブレンドを紹介しよう。比率はアフリカ、アジア、南米の順だ。ちなみにリンクをクリックすると、各コーヒーが購入できるので気になった人はぜひどうぞ。
(※売れても作者には一銭も入りませんが、ブレンドのセンスがあると解釈して無駄に喜びます)

渡辺:6:1:3 深煎り
自宅で集中して作業したい時のコーヒー

渡辺

「アフリカの香りが好きだけど、アジアとアフリカだけだと物足りないので、南米を足しました」

越智

「ずっと飲んでいられるわ」

岡田

「冷めてくると酸味が出てくるので、違った味が楽しめると思います」

渡辺

「これ本当に美味しい……。ずっと飲んでいられる」

淺野 4:6:0 中深煎り
やるべきことをやらなきゃいけない、残り3時間をやりきれるコーヒー

淺野

「濃いけどトゲがないアジアの豆を中心にしました。いっぱい飲めるように後味があまり強く残らないようにしてみました」

佐々木

「うわー、ガツンと来るなぁ。これは残り3時間追い込むのに合ってる(笑)」

渡辺

「苦味がしっかりあるなぁ。煮詰まってる時に飲む感じ」

越智

「これは追い込まれてる時に飲むコーヒーだな」

越智 4:5:1 中煎り
差し迫った時に飲むコーヒー

越智

「あまり量は飲まないので、一口二口で満足するとなると個性が強いほうがいいかなと思って、この配合になりました」

佐々木

「今流行りのサードウェーブコーヒーっぽい味ですね。酸味が効いてる」

越智

「自分で言うのも恥ずかしいけど、今流行りの味だ」

淺野

「爽やかな味ですねー」

佐々木 5:3:2 深煎り
リフレッシュでき、やろう! という気分になれる一杯

佐々木

「普段は酸味が少ないコーヒーが好きなんですけど、香りはアフリカの豆が好きなので、アフリカをベースにすることで、仕事を始める前の一杯に向いているブレンドにしました」

越智

「めっちゃ上品な味ですね。これ好きだな」

渡辺

「コーヒーカップの持つところが細ーーい喫茶店に出てきそうなコーヒーですね」

淺野

「上品なマダムとか来そうな店のコーヒーですね」

最後に瓶詰めして、オリジナルラベルを貼ったら完成。ラベルには自分で名付けたブレンド名と、フレーバーの特徴を表すイメージがプリントされている。

自分なりのMakeはここにある

渡辺さんと淺野さんが店内にある3Dプリンターを使ってコーヒーの紙パックを留めるためのクリップと計量カップを作ってみた。 渡辺さんと淺野さんが店内にある3Dプリンターを使ってコーヒーの紙パックを留めるためのクリップと計量カップを作ってみた。

学生時代に純喫茶でアルバイトをしていた岡田さん。マクニカに入社後、Makerムーブメントを目の当たりにして、自分なりの「Make」とは何かを考えていくうちに、誰もが自分の好きなブレンドコーヒーを作れるサービスに行き着いたという。

焙煎工房に協力してくれるデザイナーや会社員時代の仲間からのアドバイスを基に、このワークショップを開発したという。コンセプトには「これからは作り手が提供するものを消費するだけでなく、消費者自身が自分の欲しいものをカスタマイズする時代」と岡田さんの思いが込められている。

岡田

「Makerの世界に触れて、自分が何かをMakeするのであればハードウェアではなく、こうした『小商い(こあきない)』が自分には合っているかなと。消費者のパワーが高まっていった結果、自分で作るというMakerムーブメントの先に、こういったコーヒーの買い方もあっていいかなと思いますね」

岡田さんのMakerとしての思いが投影されたワークショップで、コーヒーをぜひMakeしてほしい。

ちなみに三島市は湧き水が有名で、川の上に遊歩道がある源兵衛川や柿田川湧水群などの観光スポットもたくさんある。ワークショップとあわせて観光してみるのもオススメです。(写真は取材とは別の日に筆者が個人的に三島に行った時に撮影した源兵衛川) ちなみに三島市は湧き水が有名で、川の上に遊歩道がある源兵衛川や柿田川湧水群などの観光スポットもたくさんある。ワークショップとあわせて観光してみるのもオススメです。(写真は取材とは別の日に筆者が個人的に三島に行った時に撮影した源兵衛川)

じぶんブレンド作り ワークショップ ”MAKE-YOUR-BLEND”
・要予約
・参加費:3000円
・時間:約90分(午前10時・午後1時・午後4時)
詳細はウェブサイトでご確認下さい。

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