Dr.片山の100均ロボット研究室
サイズの限界に挑む! 全長117cmの6脚歩行ロボを100均グッズで作る
こんにちは。片山均(かたやま ひとし)です。愛媛県八幡浜市にある三瀬医院で院長を務めながら、100円ショップの材料をメインにしたロボットを夜な夜な作っています。
100均ロボを作っていると、時々無性に作りたくなるのが巨大ロボです。今回、長さ最大級を目指して、全長117cmの6脚歩行ロボ作りにチャレンジしました。
巨大化のポイントは、テンセグリティ構造と持ち上げて下ろすことで進む機構です。また、新たな試みとして、ロボットに黒いビニール袋の外装を施しました。これにより、部屋で撮影すると背景に同化してしまう問題が解消するだけでなく、生き物感も演出できました。
巨大テンセグリティ6脚歩行ロボの製作過程
それでは、材料のご紹介から。
- 毛玉取り器(中の刃は取り外す) 1個
- 竹の箸 120本くらい
- ストロー 2本
- スムージーストロー(径8mmほどの太口のもの) 1本
- 厚紙 適量
- タイルマット 1枚
- 輪ゴム 5本
- 毛糸 適量(3mくらい)
- ビニール袋(約90×80cm) 1枚
- ラッピングタイ 52本
製作過程は以下になります。
細かい設計図は作らず、ざっくりとしたイメージ図をもとに製作していきます。なお、大き過ぎてカメラに収まりきらないので、作業中の動画が少なめになっています。ご了承ください。
竹の箸、ストロー、スムージーストローで、毛玉取り器を載せるやぐらを作ります。これが胴体の中央部になります。
コンパスカッターで、厚紙とタイルマットを円形に切り出し、プーリーを作ります。
プーリーに竹の箸を通し、クランクを作ってから輪ゴムを掛けてやぐらに取り付けます。
竹の箸で三角すいのようなパーツを2個作ります。これらは、胴体の前部と後部になります。
毛糸で胴体の前部、中央部、後部をつなぎます。
胴体の前部と中央部、中央部と後部に輪ゴムを掛けると、輪ゴムと毛糸の張力によって、全体が三角柱の形をした胴体ができます。
竹の箸で脚を6本作ります。
脚を引っ掛けるようにして胴体に取り付けます。
全ての脚を取り付ければ、ロボットの機構は完成です。
続いて、ビニール袋でロボットの外装を作ります。胴体や脚を覆えるくらいの大きさにビニール袋を裁断し、ラッピングタイを接着します。これをロボットに巻き付けます。
これで全ての部品が完成。
このロボットは組み立て式となっており、分解して段ボール1箱に収納できます。
では、組み立てていきましょう。
動画では歩けずに倒れてしまいましたが、その後の調整により、ちゃんと歩けるようになりました。ビッグなテンセグリティ6脚歩行ロボの完成です。
新採用の材料がいい仕事をしてくれた
今回のポイントは、何と言っても毛玉取り器1個で全長1m超えの大きなロボットを動かすところです。非力な動力源で大きなロボットを動かすためには、軽くて丈夫なロボットにする必要がありました。
また、展示のことを考えた場合、小さくまとめて持ち運びできなければなりません。そのため胴体には、竹箸で作った3個のパーツを毛糸でつなぎ、輪ゴムを掛けるだけで自然と組み上がる「テンセグリティ構造」を採用しました。
歩く機構には「持ち上げて下ろすと進む機構」を採用。実はロボットの6脚のうち、毛玉取り器の動力で動作しているのは中央の2脚のみ。残りの4脚は受動的に前後に動いているだけです。これにより、全ての脚に動力を伝える機構を省略することができました。
製作中に苦労した点は、胴体のたわみです。胴体がたわむと脚が持ち上がらず、歩くことができません。たわみを減らすために胴体中央の輪ゴムと外周の毛糸の張りを強くしたところ、竹の箸で作った骨格が壊れてしまいました。そこで竹の箸を追加して補強し、無事ロボットを歩かせることができました。
また、今回初めてロボットをビニール袋で覆ってみました。どうやってビニール袋で覆うか悩んだのですが、ラッピングタイを使うことでビニール袋にも骨格にも優しい外装ができました。
外装が機構に干渉する心配もあったのですが、元の構造がシンプルなので、あまり問題にはなっていません。
今回は、ちょっと不思議なアートくらいにしか思っていなかったテンセグリティを、うまくロボットの構造に落とし込めたと思います。
参考までに、冒頭の写真でロボットの大きさ比較のために置いた、牛乳パックと竹の箸などで作った6脚ロボの動画も貼っておきます。
巨大ロボをビニール袋で覆うために使ったラッピングタイは、この牛乳パックロボでは輪ゴム交換が必要になる場所に軸受けとして使っています(上の動画の黒い部分です)。
ラッピングタイは取り扱いが簡単な割には、周囲の素材を傷めずしっかり固定できるので、思ったより使える材料かもしれません。
第26回の研究発表は以上です。次回もお楽しみに!
企画・制作:片山均
取材・文:三浦一紀